第8章 デート編 カラ松の温泉旅行
—パシャッ—
「フン、オレのゴールドフィンガーでシャッターを押せばこの通りだ!」
「いや、上手だけど何でカラ松くんウインクしてんの?撮り直してよ?」
即座に削除する。
「えっ?ちょっと何で!?」
「いいから早くっ!」
わたしは腕を絡ませ甘えるようにくっついた。
「はやく…撮って」
「……主」
「っ!!」
シャッターではなく唇にキスが落とされた。
「な、何してんのっ!?」
—パシャッ—
「あーーっ!!」
「ベストショットが撮れたな」
不意打ちのシャッター音。
画面にはキメ顔のカラ松くんと、夕陽より顔を赤くしたわたし…。
「さぁ、宿に戻るぞ」
カラ松くんがわたしの右手を繋いできた。
悔しいくらいに照れてしまった。
でも、やっぱり…
(カラ松くん…大好き)
夕陽はすっかり低くなり、海はカラ松くんのシャツに良く似た濃い藍色に変化していた——。
……ちなみに、ウインクしているカラ松くんの自撮りも、ちゃっかりフォルダーに保存しているわたしなのだった。
ニート達の裏模様 第2章、次男と露天風呂にて…につづく