第8章 デート編 カラ松の温泉旅行
「おいしーー!!カラ松くんオシャレなお店知ってるんだねーっ!」
現地に到着しチェックインしたオレ達は、温泉街にある古民家カフェとやらに来ていた。
正直オレには良さがよくわからない。
オレに似合うのは古民家では無く、洗練された都会のジャズが流れるバーだからな。
だが、トッティに5000円渡し頼み込んで、ようやく教えて貰えた『とりあえず連れて行けば女が喜ぶ店』というのがここだった。
ってゆーか、殆んどマイハウスと変わらないのだが…。
トッティは昭和のレトロな雰囲気がどーのこーの言っていたけど、目の前のポットなんて母さんがお湯を入れてるのと同じだぞ。
主は嬉しそうに、オーガニックの抹茶シフォンケーキを食べている。
最近のガールズは『オーガニック』が付けば何故か皆喜ぶらしい。
これもトッティから1000円で得た情報だ。
1000円で主の笑顔が見られるのならば、安いもんだ。
「カラ松くんは本当に麦茶だけでいいの?」
「あぁ、平気さ」
正直な所、マネーに余裕が無かった。
今夜泊まる宿も決して安くはない。
お前を喜ばせるだけで精一杯だ。
(すまないな…少しでもカッコつけさせてくれ…)
オレがちびちびと麦茶を飲んでいると…
「はいっあーんして」
「むぐっ!!」
主がオレにケーキを食べさせてくれた。
「一人で美味しくてもつまんないもん。一緒に楽しまないと…おいしー?」
「もぐもぐ……ああ、お前のフォークから受け取った物なら何だって美味いさ!」
なんて優しくてエロくて可愛いハニーなんだ。
非の打ち所がないじゃないか!