第2章 静かなる闇
おそ松はやはり俺達の長男であり、
松野ファミリーのボスだ。
あの氷の様な瞳は、次男の俺でも身が竦む。
普段は、おちゃらけて不真面目なお気楽主義者だが、
物事を一番冷静に見れるのはおそ松なのだ。
本音を言うと、彼女が一般人であって欲しい。
俺の只のエゴに過ぎないが・・・・・。
そう思いながらも、路地裏で拾った中型のナイフを
チョロ松に手渡す。
「チョロ松。」
「何?カラ松兄さん。」
「実は、彼女の傍にこれが落ちてたんだが、
気になったんで拾って来たんだ。
お前なら何か分かるんじゃないかと思ってな。
調べてくれないか?」
「フーン、中型のナイフか。カラ松兄さん、
これ一本だけだった?」
「ああ、一本しかなかった気がするんだが、
何か問題でもあるのか?」
カラ松はチョロ松の物言いが気になった。
「いやね、このタイプだと、だいたい2本で
両手持ちかなーって。
一本って何でかなって。」
「そうか、俺が見つけれなかっただけかも知れないけどな。
済まないが一本で調べてみてくれ。」
「分かった。なんか出てきたら教えるよ・・・・・
でもさカラ松兄さん。」
「何だチョロ松?」
「僕も正直、あの彼女の事。
一般人には思えない・・・・・。
ちょっとしか見えなかったけど、太腿の部分にさ
武器を仕舞う装具あったよね・・・・・。
もしかしたら、何処かのファミリー・・・・・」
その先を言わせない様にカラ松が言う。
「とりあえず、彼女の意識が戻ってからだ。
それでいいだろう?おそ松、チョロ松?」
仕方が無いと言う様に
「まぁ、それでもいいよ。カラ松。
但し、何かあったら責任取れよ〜。」
「分かったカラ松兄さん。ごめんね。
すぐに調べるよ。」
「2人共悪いな・・・・・。」
カラ松は俯いた。
「そこがカラ松のいい所でもあるけど、
優しすぎるんだよ・・・・・お人好しってか、
優しさを勘違いするなよ。死ぬぞこの世界じゃな。」
おそ松の言う言葉が、カラ松の胸に突き刺さった。
だけど俺も人の命を奪ったことは数知れずある。
彼女を助けたい。例え、敵だとしても。一般人だとしても。
カラ松はそう願った。