第2章 静かなる闇
アジトにたどり着いたカラ松は扉を開いた。
そして開口一番、
「一松来てくれ!」
と、4男の一松を呼ぶ。
一松は、医療関係を専門とする。
怪我の治療や薬の調合を任せられている。
大声でカラ松から呼びかけられた一松は、
やる気のなさそうな足取りで部屋から出てきた。
実験でもしていたのだろうか、一松の目にはクマが出来、
髪の毛もボサボサだった。
「何?大声出さないでよカラ松。今、新しい薬の調合で忙しいんだから・・・・・。」
やはり仕事中だったらしい。
かなり機嫌が悪そうだったが、それどころではない。
「怪我人なんだ、すぐに観てやってくれないか!?」
一松がカラ松に抱きかかえてられている女性を見やる。
かなり重症な怪我を負っているのが分かる。
「カラ松、こっち。僕の研究室運んで。」
一松がそう言うとカラ松は急いでを研究室まで連れて行った。
「これは酷いね・・・・・とりあえず血を拭いてから全身見るよ。
カラ松は外に出てて。後で報告するから。」
「ああ、一松頼む。」
カラ松は追い出される様にして、
研究室を後にした。
「カラ松兄さん、あの女性どうしたの?なんか只事じゃないみたいだね・・・・・。」
研究室から出てきたカラ松を見かけ、チョロ松が話しかける。
「チョロ松か。見回りの途中で、路地裏に倒れているのを見つけたんだ・・・・・、余りにも酷い怪我だったから連れて来てしまった。
おそ松も、勝手なことして済まない。どうしても見過ごす事が出来なくてな・・・・・。」
カラ松がそう言うとおそ松から思わぬ言葉が出てきた。
「俺の煙草はまぁいいとしてもだよ?
路地裏ってさ、一応ウチのシマじゃん?場合によっては、あの子の処分考えなきゃいけないよな。分かってるカラ松?」
ボスであるおそ松の命令は絶対だ。
がただの一般人だとも、本当はカラ松も思えなかったが、
「おそ松、お前の言い分も分かる。だが一般人だったらどうする?
ウチのシマで起きた事だぞ。加害者を探すという考えはないのか?」
「まぁねぇ・・・・・、どっちが加害者でどっちが被害者か
分かんないけどね。」
おそ松の冷たく赤い瞳が、カラ松を捉えていた・・・・・。