第6章 事件現場
抑も、部屋自体がおかしいのだ。
アリスの横にはティーセット並んだテーブルがアリスとおんなじ状態で在る。
右側の壁にはシャンデリアが、反対の壁には本棚が生えていて、自分達の立っている面にはベッド。
「此処では私がルールだよ?此方が右かな?其方が上かな?あ、彼方が入口で其方が出口かも!」
何人かが恐怖で足が震え出す。
その様子を見てニッコリ笑ったアリスは告げた。
「さぁ、狂ったお茶会を始めましょ?」
―――
取り残された福沢と乱歩は警戒を解くことなくその場に立っていた。
「乱歩。」
「何?」
「あの娘はマフィアか?」
「否、違うよ。アリスは情報屋の方だ。」
あっさり答える乱歩。福沢の眉がピクリと動いた。
「あの刑事さんが言っていた『昨日の同傘下の組織が相討ち』の情報提供の帰りに、ハンカチを落として殺人事件に巻き込まれた。」
「成程。」
乱歩の推理に納得していると
「否、違うよ。違わないんだけど違うよ。」
別の声が乱入してくる。
「「!」」
ドサドサッ
「!」
「うげぇーっ。」
2人の目の前に現れたのは血まみれの男達。
そして2人の後ろに漸く姿を現したアリス。
「此を遣ったのは娘、お前か?」
子供にしては残虐なこの状況を目にして思わず顔をしかめる福沢。
「私がやったのは方向感覚を狂わせた事だけ。後はお互いで切り合ったんだよ。」
私、武器なんて持ってないし。と答える。
「…化け…物め…。」
男が呻きながら声を出す。
「化け物かー。」
アリスがそう呟くと、化け物扱いした男が苦しみ出す。
「「!」」
「苦しっ…!がっ…止…め!」
「あー。私、化け物だから人間の言葉が判らないや」
先程迄の少女は何処に行ったのか―――?