第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
職員室ーーー
「ーーー以上です」
簡潔に説明を行い、国木田は纏められた報告書を烏間に渡した。
「有難うございました。危険な場面もありましたが生徒達も良い経験が出来たことでしょう」
「それはアリスも同じですよ。その為にもーーー」
「「?」」
「政府の言うことを守るようにお願いします、ね」
「……。」
太宰の言葉に国木田は眼鏡の位置を正す動作を行う。
「失礼ですがーーー貴殿方の組織は非合法組織では無い筈です。何故、政府はその様なことを?」
烏間の質問に国木田は息を吐く。
それを見ながらクスクス笑うと太宰が返答した。
「政府関係者に云わせはしましたが、本当のところを云うと我が社の社長の意向です」
「はぁ?どういうことよ?!」
思わずイリーナが口を挟む。
「アリスの異能『ワンダーランド』は他者の記憶を改竄する事が出来るーーーアリスは今まで関わってきた者達から自身の記憶を消して生活してきました。云わずとも分かってしまったかと思いますが記憶を消そうと目論んでいるのはアリス自身なんです」
「「!?」」
苦笑しながら云う太宰に、2人が驚く。
「アリスも我々も置かれている状況から危険が伴わないと云えない場所で生きています。故に接触してくることがあれば二度と無いように記憶を消してしまう可能性が高い」
「それでですか」
烏間の問い掛けにこくりと頷く太宰。
「同世代の子供達に関わる機会はそうあるものではないですから社長としてもそれは避けたいと考えたのでしょう。アリスも漸く歩きだしたーーー貴女と同じで、ね」
「!?」
太宰はイリーナの方を見て云った。
突然、2、3回しか会ったことの無い人間に凡てを見透かされた気がしてイリーナはビクリと身体を震わせた。
国木田が時計を見て、「そろそろ」と云いながら立ち上がる。それに太宰も続いた。
「お互い大事にしたい良い機会となったこの一件。利害は一致しているかと思われますので是非ともご協力下さい」
ニコリと笑って告げた言葉に、否定的な返事など出るわけがなくーーー
烏間とイリーナが首を縦に振った事を確認してから太宰と国木田は退室していったのであった。