第6章 事件現場
――数が多すぎる
2人を庇いながら戦うことが果たして出来るのか。
福沢の額に汗が浮かぶ。
そんな様子を見てアリスがのんびりした口調で話し掛けた。
「このまま接近戦に持ち込まれたら私達を人質に取られて負けちゃうよ?」
「あー!それ、僕が言おうと思ったのにー!」
またまた能天気な様子で乱歩が言う。
「……。」
何故、この子供達はこんなに落ち着いているのだろうか。
福沢の頭はフル回転していた。
テーマは「この状況について」――
乱歩は何時ものことだからまぁいい。
問題は娘の方だ。
落ち着き方が異常だ。只者では無いことは薄々気付いていたが真逆マフィアなのでは。
或いは異能力の持ち主故に、何か策があるのか―。
「と、言うことで私が纏めて片付けてあげましょー。」
「おー!其れでこそ僕の弟子だ!」
如何やら後者のようだ。
福沢は少し安心した。
周りを囲んでいる男達は殺気を膨らませていっている。
「では望み通り、お前から殺してやるよ!」
男達が一斉アリスめがけて走り出す。
「2人を除く皆を招待してあげるね?」
ニッコリ笑って右足で地面にカツンと打ち鳴らしながら言った。
「『マッドティーパーティー』」
刹那、福沢と乱歩以外、姿を消した。
―――
「何処だ此処は?!」
「此処は私が作り出した空間だよ。と、言っても元々いた場所と同じ大きさでしか作れないんだけど。あ、でもでも!可愛い内装でしょ?壁の色とかベッドとか!」
「なっ!お前どうやって其処に立ってんだよ!」
そんな事など耳には入らない程、驚愕する男達。
無理もない。
慌てふためく男達の問いに答える声は、自分達の頭上から降ってきているのだ。
その声の主、アリスは其処に立っていた。
ぶら下がって居るわけではない。
髪の毛も衣服もきちんとアリスの足の方向に垂れているのだ。
恰もアリスからすれば此方側が天井の様に――。