第6章 事件現場
放っておけば何時までも話続ける勢いではあるが、警察官も如何すればよいか判らず狼狽しており、犯人と言われた男も只只、そんな様子を呆然と観ている。
そんな状況に終止符を打つのは矢張り福沢だった。
「乱歩。」
先程より低い声で名前を呼ばれビクーッと反応する乱歩。
直ぐに乱歩は自分の推理を皆に話し始める。
その内容に男が観念し、犯行を認めたため事件は解決の幕を降ろした。
―――
「あーあ。ハンカチが…。」
アリスのお気に入りだったハンカチは所々に血が付着してしまっただけでなく、当然、証拠品として押収されてしまった。
殺人を実行しようとしていたにも関わらず手袋を忘れた男が、偶々飛んできたハンカチを使って指紋を残さないように使用していたのだ。
自分の物でない為に、捜査を撹乱出来るかもしれないと思ったとさえ証言した。
乱歩の推理を一部始終黙って聴いていたアリスは驚きっぱなしだった。
どの様な洞察力があれば手袋を忘れた等と指摘できるのか。
「お兄ちゃんは本当に凄い人だね!あんな短い時間で解決しちゃうんだもん!ビックリしちゃった!」
「僕にかかれば此の程度の事件、大したこと無いよ。」
警察官が1人、此方に向かってくるのがアリスの視界に入る。
「疑って済まなかった。」
「…。」
警察官が謝罪の旨を述べる。
「然し、あんな深夜帯に子供が一体何をしていた?親と来ているとまで嘘を付くとは。怪しいことこの上ないな。」
「赤の他人に、人のお家事情を話す気なんて全く無いよ?其れとも警察官っていうのはプライバシーって単語を知らないの?」
「何?」
アリスの言葉に米神に青筋を立てる。其処に口を挟んだのは福沢だった。
「娘、今幾つだ?」
「ん?12歳だよ?」
「えっ、12歳だったの?!」
乱歩が驚きの声をあげる。
警察官も驚いているが声には出さなかった。
「年相応には見えないってよく言われるの。」
皆の反応に、しょんぼりしながらアリスは答えた。