第6章 事件現場
其の中で、きっちりとアリスが容疑者候補になっているのを聞き、アリスは不満を漏らす。
「だから違うってば。」
「落ち着け、娘。違うならば其で良い。」
「?私の言うこと信じるの?」
「否、何とも言い難い。然し、貴公は彼の男が犯人と云うのであろう?」
「うん。説明は無理だけど間違いないよ。」
「僕は犯人じゃない!」
大人しくしていた男も反論する。
「済みません。この通り煩くて。」
イラリ。
アリスの苛立ちが最高潮に達しようとしている。
自分の発言は子供の戯言程度にしか捉えてないだろう。煩くさせたのは其方の方だというのに。
「………。」
怒りでアリスの纏う空気が変わったのが判ったのか。
福沢がアリスの頭をぽんぽんと2回程撫でた。
「落ち着け。」
「!」
怒りが鎮まる。
それを確認し終わると福沢は乱歩の方を向いた。
「乱歩。」
「やっと?待ちくたびれたよ!」
名前を呼ばれ、乱歩が懐から眼鏡を取り出した。
此れから一体何が起こるのか。
アリスも含め、全員が乱歩に視線を集める。
「異能力―――『超推理』」
「!」
異能力者だったのか。
否、でも―……あれ?
アリスは乱歩が次に口を開くまで、一体何が出来るのかを識る為に集中して乱歩を観ていた。
其の時間、僅か30秒。
「成程。」
そう言って乱歩は、眼鏡の位置を正す様な動作をした後、アリスの方を見て、話しかける。
「君、名前は?」
「アリスだよ。」
「ではアリス。君が思う犯人は誰だい?」
「彼の男。」
パトカーの真ん前で今の状況を観ていた男を指差す。
「だから僕は違っ「その通ーり!君、矢っ張り理解力があるじゃないか!まぁ、僕には及ばないけど!」…え。」
「お兄ちゃんもそう言ってくれるの?良かった!此の人達、幾ら違うって言っても子供だからか話聞いてくれなくて!」
「仕方無いさ。彼等が無能だから僕が呼ばれたんだからね。」
「そうなんだ?!お兄ちゃん凄い人なんだね!」
男の言葉等、全く聞く気がない乱歩はアリスと楽しそうに会話する。
此の状況で唯一味方をしてくれた乱歩にアリスも心を許し、乱歩も自分を誉め称えるアリスに気分を良くしている様子だった。