第1章 情報屋
「私の送り付けた情報に躍らされて、私を始末する為に此処に駆け付けてる此の状況こそ1番の…」
ドガガガガガガガガガガガッ
証拠でしょ?と、アリスが話終わる前に大男が発砲する。
其を合図に双黒も、囲んでいる連中も一斉に動き出す。
異能力ーーー汚れちまつた悲しみに
アリスの腕を取り、自分の方に引き寄せ銃弾から守る。
3人に向けて放たれた銃弾の雨は3人に傷を追わせることなく地面に落下する。
「わわっ!」
銃弾が唯の1発も当たらなかったことに同様を隠せない連中を、太宰が所持していた拳銃で確実に仕留めていく。
急に引き寄せられて体勢が崩れたことに驚きの反応を示したものの、此の状況下で笑顔でいるアリスを一瞥し、場慣れしていると判断した中也はアリスの元を離れ、自分も攻撃に加わった。
大人でさえ一般人であれば逃げ出すか、或いは腰を抜かし泣き出すか。
そんな残虐な状況を、何事もないかのに眺めていたアリスだったが、ふと、何かを思い出して急に慌て出す。
「あ、お兄ちゃん達!此の人達は、横流しした物資を『影を伝って』運んでたんだよ!」
取引する筈の情報を確認する前に、戦闘が始まってしまったのだ。
やっぱり一寸話過ぎちゃったな……。
アリスがそう言い終わるとほぼ同時に、敵を勢いよく殴り飛ばしていた中也の動きが急に止まる。
「なっ…糞っ!身体が動かねぇ!」
「中也!」
相棒の異変に気付き、太宰が中也のサポートに入ろうとするも、数人に目の前を阻まれる。
「!」
「おっと。貴様の相手は俺達だ。」
「ボスの異能力を無効化されちゃ敵わないからな。」
私の異能も当然ながら知られていたか。
太宰は銃口を向けながら間合いを詰める連中に舌打ちし、打開策がないか探る。
中也の前には、中也自身の影を操り動きを止めている男――。
一番始めに姿を現した大男が立ちはだかる。
「全ては順調だった。俺の『影を操る能力』は人でも物でも…どんなものでも影の中に忍ばせる事が出来る。故に一切、表で動いていなかった。なのに…」
先刻アリスに向けたマシンガンを中也に向ける。
「っ!」
「何故、お前は取引内容を全てを識っていたんだ!?お前さえ居なければ計画は完璧遂行出来たと謂うのに!!」
銃口を中也から少しずらす。