第4章 安全確保
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あれからアリスは、と或る部屋に居る。
先程の趣味の悪い部屋とは打って変わって豪華な一室―――太宰の部屋だ。
キョロキョロと部屋を見渡した後、自分の目の前に居る太宰に話し掛ける。
「本当にマフィアの幹部なんだね。」
「まぁ、一応ね。」
温かい紅茶を啜りながら答える。
テーブルの上にはクッキーやパウンドケーキ等が並んでいた。アリスはクッキーを摘まんで口に入れる。
少し眠そうだ。
「それで?」
「ん?何だい?」
「本当の目的は『恋人』なんかじゃないんでしょ?」
「おや?君は嘘が判るんじゃないのかい?私の発言が嘘だったと?」
ニコニコしながら言う。
確かに嘘は言ってなかった。
けれど。
「目的は別でしょ?」
そう指摘するとやれやれ、と一息着く。
「あの件以来、裏切り者が後を絶たなくてね。」
紅茶を口にするアリス。
アリスの言動を観察するように観ている太宰。
「あー。面倒事が起きてるんでしょ?」
「………。」
詳しく話さずとも理解していると云うことは――。
そしてアリスはニッコリ笑った。
「脱走げられちゃったらしいね?」
「!」
首を絞められた恨みをここで晴らすが如く嫌味を言う。
「知っていたのかい?」
「うん。」
矢張り、か。
「そのせいでポートマフィアが大変なことも。」
ティーカップを置き、続ける。
「貴方が私を捜していたことも、ね。」
「やれやれ。君の情報収集力には驚かされるよ。」
態とらしく溜め息を着く太宰。
「お茶代は?」
「私も貴方のその性格の悪さには驚かされてばかりだよ。」
「そう?」
今度はアリスの方が溜め息を着く。
「黒幕は、その影使いさん。」