第4章 安全確保
ガシャン!
太宰が檻まで飛ばされたのを機に、アリスは止められていた分の酸素を取り入れると「外れて。」と呟く。
その声に反応して、音を立てて手足に填められていた枷が外れる。
「「!!」」
その状況に驚愕し、2人が構える。
それに気付いて睨み付けるアリス。
「今、機嫌悪いから戦うなら殺すよ。」
「!」
少女らしからぬ表情で、一般人とはとても思えない台詞を吐く。
「大人しく捕まるのはもう止めるのかい?」
よっ、と軽い調子で起き上がった太宰は2人の前に手を出す。
「乱暴されて大人しくしてる程いい子じゃないもん。」
コホッと咳をして太宰と対峙するアリス。
「悪かったよ。殺す心算は無かったんだけど。真逆、返り討ちに遭うとはね。」
「……。」
嘘は言っていない。
「お詫びと言ってはなんだが、私と取引なんて如何だい?」
「!」
ニッコリ笑いながら提案する太宰に驚いたのは広津。
アリスは溜め息をつく。
「…何でもお見通しなの?」
「何でもとは言えないけど君が残っていた理由は解るよ。『其処の少女達の生存の保証』だろう?」
太宰の発言に、牢屋の少女達が驚く。広津達も。
「………条件は?」
正解だったのだろう。
アリスは商談を続ける。
「そうだなー。」
太宰が顎に手を当てて考える仕草をする。
「………。」
アリスを含めた全員に緊張が走る。
ある程度の無茶な要求でも飲まなきゃ、この娘達は助からない――……。
そうだ。と、手をぽんとして太宰は言った。
「私の恋人になってよ。」
「分かっ…え?」
アリスも。
「「「「え?」」」」
牢屋の少女達も。
「「太宰君(さん)…?」」
広津達も。
予想だにしなかった提案に全員がポカンとしている。
聞き間違えでは無いかと思う程だ。
そう思われてるなど、知ってか知らずか。
太宰はニコニコしながらもう一度同じことを言った。
「だから、私の恋人になってよ、アリス?」