第4章 安全確保
道理で――。
あの太宰と対等に会話している様を見て、
目の前の少女が自分に怯えない理由を知ることができた広津は2人のやり取りを見守る体勢に入った。
部下は太宰が拷問を代わると言った時点で青褪めるている。
「この間はまんまと逃げられたからね。」
「悪いことをした覚えは無いのに尋問したりするからでしょ?」
ムッとしながら答えるアリス。
太宰も笑顔を崩さない。
青褪めているマフィア達とは反対に、牢屋の少女達の震えは収まっていた。
現れたのが自分達と同じ年齢位の少年だったからだろう。
先程の、鉄格子を触れただけで変形させてしまう男の人より全然マシだと。
――その認識が誤りだと判明したのは僅か30秒後。
「そうだった。君の異能力について知りたいのだよ。」
「…秘密って言ったじゃん。」
太宰の台詞で、少女が広津は自分の行動に一切の動揺を見せなかった理由を悟る。
彼女もまた、異能の持ち主だったのか――。
そう思ったのとほぼ同時。
太宰は懐から銃を取り出すと、何の躊躇いも無く牢屋の少女達に向けて発砲する。
「「!」」
広津とその部下は驚き、
「キャーー!!!」
少女達は悲鳴をあげる。
………?
弾丸は少女一人を貫通する軌道を走る予定だった。
「自分に向けられたものでなくても止められる、か。」
弾が牢屋に入る前に停止して、地面に落下する。
その状況にも驚きを隠せない広津とその部下。
「殺すなら私からにしてくれないかな?秘密って言ったのは私でしょ?」
アリスが怒りを露にする。
「そう?其れじゃ遠慮なく。」
「!」
太宰がアリスの首に手を掛ける。
異能力―――『人間失格』
「異能力さえ使えなければ君なんてその辺の子供と何も変わらないよ。大人しく私の質問に答えていれば良かったのにね。」
「くっ……っぁ!」
指に力を込めて首を絞める。
「降参しないと本当に死んでしまうよ?」
殺す気が無いのか?とてもそんな風には見えないが。
広津は太宰の考えが全く読めず、唯々その光景を黙ってみている。
そんな時、アリスの口が僅かに動く。
「ワンッ…ラ…ド…」
「私に異能力は―」
「ハッ……ア…デ…!」
「?!」
ゴウッ!
突然、強風と光が太宰を襲う。
「「太宰君(さん)!」」