第4章 安全確保
檻の次は牢屋か。
連れてこられた少女達は手には手枷を、眼には目隠しをされている。
アリスも例外ではない。
それにも拘らず、キョロキョロと周囲を気にするアリスに銃を突き付け、じっとするように黒尽くめの男が言う。
「報告してくるから見張っておけ。」
「はっ。」
「嗚呼、そうだ。目隠しを外しておけ。」
「宜しいんですか?」
広津の指示に疑問する部下。
「視覚により恐怖心を煽るのさ。」
「!承知しました。」
そう言うと、広津はその場から去った。
部下は指示通り少女達の目隠しを外す。
「!」
牢屋の鉄柵越しに見える壁には手足を拘束する鎖が埋め込まれており、その前の机には刃物や銃だけでなく、使い方すら分からない道具などがズラリと並んでいる。
所々に見える血痕。
此処に入ってから鼻に着く、鉄の臭い。
使い方は分からずとも、それが拷問器具と云う事は判っていた。
広津の思惑通り、少女達は一気に青褪める。
その表情を見て気分を良くした男は、これから少女達の身に起こることを教え、追い討ちを掛ける。
「知っていることを素直に話せば直ぐに終わるさ。」
「ふーん。拷問が?それとも命が?」
「!理解力があるじゃないか。さて、どっちだろうな?」
男の言葉に、普通の内容を話すかの様にアリスが質問する。
その内容に、他の少女達の啜り泣く声か聞こえ始める。
答えなど聞かずとも、正解が後者であることなど判りきったことだ。
マフィアが目撃者を生かしておくわけ、無い。
「はあ。面倒な事になったな。」
と、なれば。
拷問が始まる前に逃げるしかない、か。
然し、この人数を連れて無事に逃げ切ることなど出来る相手なのだろうか?
新たな疑問がアリスの頭に浮かんでいた。