第4章 安全確保
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「少女だぁ?手前ェ、何時からロリコンになったんだ?」
「別に、そんなんじゃないよ。確かにその娘は異国の人形の様に愛らしかったけれどね。」
欠伸をしながら太宰は話す。
寝る間を惜しんで調べてるものが真逆、少女の行方とは。
中也は怒りを通り越して、呆れた顔をしている。
「まぁいい。広津さんが裏切り者の居場所を発見したらしい。」
「へぇー。」
太宰は適当に相槌を打つ。
「此れで持ち出されたシャブの在処も判んだろ。」
「そう簡単にはいかないさ。」
「あ゙?何でそう言い切れるんだよ。」
「勘。」
笑って太宰は答える。
普段ならば怒るところであろうが、中也は大人しい。
「……こういう時の手前ぇの勘は当たるからな。」
そう言った瞬間にノックがする。
「入れ。」
中也が促すと、先刻の男が入ってくる。
如何やら彼は伝令係らしい。
一礼すると2人に報告する。
「広津さんから一報ありました。先手を打たれたとの事です。」
「「!」」
矢張りか。
「只、目撃者と思われる人物達を発見したそうで連行するそうです。」
「その状況で目撃者?」
太宰が伝令係に問うと、はい。と答える。
「なんでも、売り物の少女達だそうです。」
「少女…。」
本日二度目の単語を中也が呟く。
「何歳くらいだい?」
「其処までは聞いてませんが…数人は衣服を着用しておらず、注射痕が在るそうです。」
「俺達のシャブを使って薬漬けにする心算だったか。お前の探してる少女じゃないといいなぁ、太宰?」
嫌味を含めて太宰に言う。
「絶対に別人だね。」
「何でそう言い切れるんだよ。」
また勘か?中也が面倒そうに問う。
太宰は立ち上がると、扉の方へ歩んでいく。
「私達の追跡を意図も容易く躱した娘だよ?」
「!」
予想外の答えに大きく反応する中也。
「却説、また探すか。」
ふぅ、と息を吐いて太宰は部屋を出ていった。