第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
次の日ーーー
いつも通りの朝。
いつも通りのホームルーム。
「えー、出欠をとる前に皆様にお知らせします」
殺せんせーが残念そうな顔をしながらクラス全員に話し始める。
聞き手側である生徒たちもどことなく元気がなかった。
1つだけ誰も座っていない席ーーー
今から告げられる事を誰もが予想していた。
「昨日をもってアリスさんが退学となりました。」
やはり、と。
一瞬でクラス全体がざわついた。
「お別れの挨拶もしてないのにー?」
「そうだよ!色々助けてもらったのにお礼も言えてないじゃん!」
そーだそーだ!という生徒たちを静める殺せんせー。
「あ、先生達なら連絡先知ってるんじゃないの!?」
「それだ!直接言えなかったからせめて電話かメールでも」
「………それなんだが」
一緒に聞いていた烏間が、珍しく困った様子で口を挟んだことで全員の注目が一斉に烏間に移る。
「彼女は……『異能力』なる摩訶不思議な力を保有する者達が所属する組織の人間だ。『余計な干渉を行うならば記憶の消去も辞さない』と政府側の人間が言ってきている」
「……つまりアリスが来てから去るまでの間の出来事は『無かったことにしろ』ってこと?」
「「「「「!?」」」」」
「「「……。」」」
カルマの問い掛けに生徒達は驚き、先生達は口を閉ざす。
「そんなのできるわけないじゃん!」
「危険な目にもあったけど、折角の思い出なのにっ!」
「ーーーそう。だから、君たちが忘れなければいいだけのことだよ」
「「「!?」」」
突如、3ーEの関係者ではない者の声が会話に入ってきた。
長身の男が2人、後ろ側の扉の前に立っていた。
「太宰さん、国木田さん」
殺せんせーが2人の名を呼んだ瞬間に国木田はホームルームの邪魔をしたことを詫びる。
尤も、会話に交ざり、一瞬の混乱を与えたのは隣に立つ太宰の方であるが。
依頼完了の報告と手続きに来たことを悟った烏間は「職員室に」と国木田に告げて移動を始めた。
「下手な詮索をすれば記憶を消す、と云うことは『何もしなければ何もされない』と同意だよ、諸君」
「「「「「!」」」」」
ふふっと笑いながらそれだけを告げると太宰も国木田達の後を追って移動していった。