第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
武装された男達が去っていく姿を見ながら眼鏡の男は小さく息を吐いて、隣でニコニコしている長身の男、太宰に話し掛けた。
「全く、突然連絡してきたかと思えば異能犯罪者リストを使用したいという申し出だけでなく改竄、更なる手伝いまでさせられるなんて思ってもいませんでしたよ」
「うふふ。どうせ特務課に話が回ってきていたところだったんでしょう?私は安吾のためを思って早期解決に協力してあげただけだよ。ねえ、アリス」
「……安吾兄お疲れ様」
気の毒そうに労いの言葉を掛けたアリスをみて貴女も、と返して直ぐに歩きだす眼鏡男、こと坂口安吾。
「もう行くのかい?」
「ええ。やらなければならないことは山積みです。この案件は解決しましたが、その過程ーーー先日逃走を図られた件の状況確認に再発防止対策の検討、それに掛かる事情聴取に書類作成等々、他課が起こした不祥事とは思えないほどの後始末を抱えていますのでーーー貴方達の思惑通りに」
「安吾兄には悪いけどムカッとしたんだもん。あの天狗幹部に」
「ええ、十分に解っていますよ。なので説明はしましたが恨み言は云っていない心算です」
「いや~お気の毒だねえ」
「貴方は何とも思ってないでしょ」
「ふふっ」
アリスを後ろから抱き締めながら笑っている太宰にツッコミを入れ、安吾は失礼しますと頭を下げてその場を去っていった。
「却説、私達も帰ろう」
「うんっ」
太宰はアリスの手を取ると、指を絡ませてゆっくりと歩きだした。
こうして探偵社に舞い込んだ依頼は、無事に解決したのだった。