第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
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とあるマンションの一室。
生活に必要な家具は殆ど無く、広いリビングに唯一ある折り畳み式のテーブルに置かれた1台のノートパソコンを眼鏡を掛けた男が見ている。
その男は珈琲を飲みながら窓の外を眺めている男の方を振り返って口を開いた。
「失敗のようですね」
その言葉を聞くなり話し掛けられた方の男は盛大に舌打ちした。
「『異能力』なんていう特殊能力を持った集団がいること……況してや敵対することを想定してなかったのが敗因だな」
溜め息を着いてパソコン画面が見える位置に移動する。
「しかし、反対に味方にすればこんなにも心強い」
男はポンッと眼鏡男の肩を叩く。
「プランの失敗は良くあることだ。だが、次からは成功する未来しか見えない。こんなにも心強い味方がいるんだからな」
男が大声をあげて笑いだす。
眼鏡男は小さく息を吐いて眼鏡の位置を正す。
「他のお仲間は宜しいのですか?」
その質問に男は笑うのを止めた。
しかし、その口は笑ったままだ。
「仲間ぁ?勘違いしているようだがな。俺達は『偶々利害が一致した殺し屋集団』なだけで元々は好敵手ーーー個々が『目的の為だけに』集まったに過ぎねえ。」
「と云うと、彼等は仲間ではないと?」
「そうだ。この業界じゃあ裏切りなんて日常茶飯事だ。けど何時からか、それら全てを『ハイエナという殺し屋』が行っていると噂が立つようになった」
「……成る程。彼等……否。貴方はその噂を利用していただけに過ぎないということですね?」
「その通りだ」
男はニヤリと笑った。
「単独の時もありゃ、今回のように利害が一致した複数人で行う時もある。まあ、複数の場合は成功率が上がるな。集団だと思ってない連中相手に仕事するなんて簡単だからな」
手に持っていた珈琲カップをテーブルに置く。
中身は空だ。
「そろそろ行くぞ」
「判りました」
男の声にパタンとパソコンを閉じて、立ち上がる。
「ところで貴方以外の連中は『6人』捕まってしまいましたが、ハイエナの事実をーーー貴方のことを口外される可能性は?」
「ゼロだ」
男はハッキリと言った。