第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
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サイレンの音が近づいてくる。
「ズラかるぞ、芥川」
「御意」
芥川はコホコホと咳をしながら返事をすると先に歩き出した中也に続く。
その姿を見ながら殺せんせーは近くに居た乱歩に話しかける。
「いいんですか?捕えなくて」
「休戦協定中だからね。それに今回に関して云えば彼等は功績者だ。と云っても太宰とアリスのおかげだけど」
どこからか出した飴を咥えながら答えると殺せんせーは小さく「そうですか」と納得の意を表した。
「それよりも君は何処かに避難していたほうがいいんじゃない?」
「え?」
「今から1分40秒後、この事件を嗅ぎつけたマスコミの第一陣が到着する。まっ、僕はどうでもいいけど」
そう乱歩が云うと烏間の方を向き、頷き合う。
そして、殺せんせーは一瞬でその場を去っていった。
「君達も全員学校へ。事情はその時に聞く」
烏間の指示に生徒たちは返事をし、移動を始めた。
「谷崎、付いていけ」
「っ、はい!」
乱歩の指示で谷崎も慌てて生徒たちの後に続いた。
「彼は護衛向きではない気がするが」
「護衛じゃないよ。好奇心の塊みたいな子達が居るでしょ?」
乱歩は面倒臭そうに、しかし普段よりは丁寧に回答する。
乱歩の指摘に小さく、ウッと言葉をつまらせた烏間を見て乱歩は言葉は続けた。
「谷崎の異能は簡単に云えば幻影だ。『彼等の周りの人間を盲ます』のではなくて『彼等自身に幻影を見せる』ことで大人しく学校に帰ることしか出来なくなる」
「ナルホド…」
そう話し終わると同時だった。
「誰か居たぞ!」
「第一発見者か!?」
「話を聞くんだ!!」
「!?」
殺せんせーが去る前から1分40秒。
乱歩が云ったとおりにマイクとカメラを持った人間達がこちらに向かってきた。
「おいっ、どうする…っ」
乱歩に意見を求めようとした時だった。
制服を着た警察官を複数人引き連れた男が乱歩たちの前にズイッと出る。
「此処からは立入禁止ですので」
そう云うと制服を着た警察官たちがテキパキと立入禁止と明記された黄色のテープで封鎖を始めた。
「早いねぇ箕浦くん」
「名探偵のお呼びとあらばな」
そんな会話をしながらその場を去っていく乱歩に慌てて烏間も着いて行く。
背後では「少しだけ話しを」と叫ぶ声が後を絶たなかった。