第4章 安全確保
「うるせぇ!此の糞餓鬼が!」
「止めて!」
男が◎◎を殴り飛ばそうとし、其れを庇って姉が受ける。
「だったら手前が責任とれや!」
男が数人で◎◎の姉を押さえ付け、服を乱暴に引き破る。
「!嫌ーーー!」
「お姉ちゃん!!!」
『ユルサナイ―――。』
アリスが殺意を纏ったその時だった。
「おい、時間だ!急げ!少しでも遅れれば命取りになる!」
リーダー格の様な男が入口から現れ、荷積みの指示を出した。
「ちっ、折角の楽しみが。」
「仕事が終わってからまた楽しめばいいさ。」
そう言いながら◎◎と姉を檻に投げ入れる。
「お姉ちゃん!ご免なさい!!」
「お姉ちゃんは大丈夫よ、だからもう泣かないで?」
大泣きしている妹をしっかり抱き締めながら◎◎の姉は優しく笑った。
その姉を見て、正気に戻るアリス。
出来た娘だね。
ガウン!
大きい音を立てて檻が宙に浮く。
そして、倉庫の外に待ち構えている船の方へ移動して…
急に大きく揺れて止まった。
「?故障かな。」
アリスは、そう呟いて檻の間から下の男達を除く。
「何だ?何が起こっ」
ズガガガガガッ!!!
「!」
突如、黒尽く目の男達が現れ、銃を乱射する。
少女達は少し悲鳴を上げると、耳と目を強く閉じた。
「新たな刺客?荷物を横取りしたいのかな。」
勿論、アリスは一部始終を観ている。
「があっ!」
最後の1人が倒れると、その集団はアリス達には眼もくれずに直ぐに去っていった。
―――
「1人だけ残して、他は全員殺せ。」
倉庫の前で煙草を吹かしながら男が言う。
齢は40半ば位だろうか――。
10人程の集団は指示を出した男以外、手にマシンガンを装備していた。
一斉に進入し、其れを構える。
「!」
しかし、目の前にあるのは自分達が描く予定だった光景。
「……先手を打たれたか。」
落ち着いた声で呟く。
煙草の火を消し、辺りを確認する。
「広津さん、あれを!」
広津と呼ばれた男は、部下の指差す先のクレーンに吊られた物を見上げる。
中にいるのは数人の女子供。
この状況なら目撃している可能性が高い。
「全員、捕獲しろ。」
「「「はっ!」」」
少女達は再び、違う連中に拘束された。