第4章 安全確保
被り物のせいでくぐもっているが、◎◎が泣き叫んでいるのがわかる。
ゴメンね、◎◎。
アリスも取り敢えず抵抗…の振りをする。
この様子じゃあ正解かな。
若し、姉が面倒事に巻き込まれていたならば捕まった方が手っ取り早い。
そう判断し、直ぐに行動に移したのだが、こうも計画通りに事が運ぶとは。
「大人しくしろ。痛い目に合いたいか?」
「!」
◎◎は大人しくなる。
中々に賢い子だ。アリスも合わせて動きを止める。
本来「在る」筈の視界が「無」くなった――。
『ワンダーランド』がアリスの視界を補う。
運転手の他に男が2人と、袋を被った人が5人。
私と◎◎を合わせたら7人、か。
アリスは、袋を被せられている状態のまま状況把握に努めた。
そうして、車に乗せられ連れてこられた先は何処かの倉庫だった。
着いて直ぐに袋を外され、中に入るように促される。
直ぐ近くに海がある。
異国に売り飛ばす気かも………。
可能性の1つとして情報を頭に入れる。
思考を巡らせていると◎◎の声が聞こえる。
「お姉ちゃん!」
「◎◎?!如何して此処に!」
アリスは抱き合う2人を見て一息付く。
矢っ張り、捕まっていたか。
そう考えるのも、束の間。
中に居た、20人近くの男達に囲まれる。
「ほら、入るんだ!」
そう言われて指し示される先に有るのは結構な大きさの檻。
「!」
それを見て、連れてこられた人達が言葉を失う。
中には既に15、6歳程の4人の女の子が入っていた。
全員、小刻みに震えており、体育座りで顔を埋めている。
問題は其処ではない。その格好だ――。
「酷い。」
アリスは呟く。
全員、全裸だった。所々、赤や青の痣がみられる。
「言うこと聞かないとそいつ等と同じ目に遭わせるぜ。」
男達が下衆な笑みを浮かべながら言う。
大人数の男だけでも恐怖するものなのに、少女達の有様が、更に恐怖心を煽る。
今連れてこられた娘たちも恐らく同年齢層。
涙を浮かべながら全員が大人しく従う。
そんな緊張感が走る中、突如泣き叫ぶ声が響いた。
◎◎だ。
「◎◎!大丈夫だから!泣き止んで、ね?!」
「うわぁーーん!!」
慌てて姉が慰めるも、◎◎は泣き止まない。