第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
「……。」
お互いに何も云わず見詰め合っていたが、黒い人物はナースステーションのカウンターをフワッと飛び越えて行った。
「えっ!?」
「そっちは見張りがいっぱいなのに……!?」
各々、小声で思っていることを話した。
誰だ!?オイ、侵入者だ!!
案の定、一気に騒がしくなるフロア。
巻き込まれてはマズイと瞬時に悟り、全員が息を殺して隠れ潜んだ。
「……?」
手に銃を持っていた人間もいた。
しかし、銃声は響かなかった。
それどころか物音すら聴こえない。
全員が片岡に注目し、指示を待つ。
行こう。
その合図で全員ナースステーションから出た。
「いっ!?」
「えっ!?」
そこに転がっているのは彷徨いていた者達だ。
持っていた筈の武器は見当たらない。
生きてはいるようだが血塗れではあった。
「貴様等が椚ヶ丘中学とか云う学校の生徒か」
「「「!?」」」
片岡たちの目の前にスタッと降りてきたのは黒い人物。
先程と同じくコホコホと咳をしながら口を開いた。
その問いにどう答えるか考えた片岡だったが、直ぐに肯定の意を示す。
「……。」
黒い男は無言になる。
否、耳に嵌めている何かに耳を貸しているようだ。
「ーーーしかし………いえ、何でもありません。承知しました」
そう云うと通信が途切れた………いや、違う通信が入ったのだろう。先程の恭しい態度から一変して舌打ちし、眉間に皺を寄せている。
「ーーーフン。それで何故僕に連絡を?人虎。早急に偽物の処理に勤しめ」
『だから困ってるから連絡してるんだよ!少しは協力しろよ!太宰さんに云うぞ!?』
「何だと?抑も先刻から何度も同じ事を教えて居るにも関わらず、全く覚えていない貴様の知能不足に否はないとでも云う心算か?」
『うっ……。だから謝ってんだろう!?』
「人に教えを乞う態度とは思えぬ」
『あー!もう!僕が悪かったからもうい………』
「……人虎?」
『ーーー人の気配だ。また連絡する』
「……ああ」
一通り話終わったのだろう。
思ったより話す人だ、あと話し方が独特だ。
そんな事を思いながら男の方を黙ってみていた。