第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
「………此処も外れ」
「矢張り一筋縄ではいかない、か」
午前8時ーーー。
アリスと太宰は地図を片手に横濱の街を彷徨いていた。
アリスは昨晩、中也に宣言した通りに13台の車の行方を追った。アリスの異能をもってすれば直ぐに『黒真珠』の在処など割り出せると思っていたのだが、相手も殺しのプロ……。
映像を追うと13台の行先から更に怪しい人物が散り散りに動き出しており、相手の思惑も掴めないため、こうして朝早くから太宰と2人で1つずつ現場を押さえに行動していた。
『C、D地点も外れだ。今からE、Fに向かう』
ザッと云う雑音の後に、アリスと太宰の耳に嵌まっている機械に音声が入る。
「其方も外れか。やれやれ。中也が『黒真珠』を取り逃がさなかったらこんなことになってなかったのに」
太宰が態とらしく息を吐きながらぼやく。
『ンだと?手前がもう少し真面目に働いてりゃ相手の手立てだって読めただろーが』
そう。
表向きの場所を武装探偵社が。
裏向きの場所をポートマフィアが。
1つ1つしらみ潰しに当たるしか方法が無い程に情報が錯誤しているのだ。
それは、怪しい場所を数ヶ所に絞ってポートマフィアに潰してもらう予定だった作戦が、既に成り立たない程に巧妙だった。
探偵社としても同様だ。
頼みの綱の乱歩が他県に急遽、出張になった。
何でも、福沢と交遊のある人物から「密室殺人事件」を解決してほしいと依頼があったからだ。
ーーー完全に後手に回っている。
アリスも。太宰ですらも思考を止めずに行動し続けざるを得ない状況なのだ。
「2人とも朝も早くから仲良しだね」
「『そんなわけないだろ』でしょ」
「はいはい」
アリスは次の地点を確認する為に地図に目を落とした。
その時だった。
ドオォォオォオオオン!!
「「『!?』」」
何処からか轟音が鳴り響いたのだった。
「っ!?何処からっ……!?」
「中也の所からも聴こえたかい!?」
『ああ!今居る位置から三時の方角だ!煙も見えてる!取り敢えず部下に様子見に行かせる!』
その通信に返事をしてアリスが素早く地図を確認する。
「○○公園、の最寄り駅ってところかな」
「3件目にいく予定だったところか」
太宰が顎に手を当てて考え始める。