第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
「それで『黒真珠』だっけ。探偵社にはそれらしい話は舞い込んでないよ」
「ってことは矢っ張りハイエナの計画説が有効かな」
カタカタとパソコンを操作しながら画面を確認しているアリスと、アリスから離れて……その隣に座り直して捜査資料を見ている太宰。
『黒真珠』ーーー黒社会では有名な高性能爆弾だ。
但、製造行程が明らかにされていない上に、海外でしか入手できない原料で製造されているモノと云うこともあり価格が高額。
故に、日本では滅多にお目に掛かれない代物だ。
しかし、値が張るだけあって性能は抜群に良い。
1つで高層ビル一棟を倒壊させる程の威力を発揮する。
遠隔操作も可能。おまけに『黒真珠』と云う名の由来でもあるほどに小型な為、見付かりにくいという特徴を兼ね備えているためテロ向きなのだ。
だからーーーそんな危険なモノを横濱の暗部であるポートマフィアが黙って見過ごすわけが、ない。
ポートマフィアは、この『黒真珠』の密輸を一切禁止している。
此れは傘下組織にも徹底されており、これを破った者達も今までに数えるほどは居たが既に過去の人。
詰まり、有無を言わさずに『死』を与えられる程の禁忌。
其の事を知っているアリスが立てた仮説はこうだ。
ハイエナは殺せんせーを殺す計画の1つとして『黒真珠』を使おうと決めていた。
①予め『黒真珠』を用意する。
②横濱に既存の闇組織を唆し、『密輸品』として日本に上陸させる。
③その密輸話をポートマフィアの耳に入る程度に広める。
④当然、ポートマフィアが捜査に乗り出す。この事を認知した時点で次の事を行う。
(1)ポートマフィアと接触して情報を操作し、直ぐに見付からないように時間を稼ぐ。
(2)密輸に関与させた闇組織をスケープゴートとして切り捨て、更に隠せそうなグレーの組織を探す。
⑤ポートマフィアが乗り込んで来る前にグレーの組織に完全に成り済まして、機会を窺う。
「治は如何思う?」
「同じ結論だね」
パラパラと資料を見ながら太宰が答える。
「そして恐らくグレーの組織として目をつけられたのが『電子学館』ってことか」
コクリと頷くアリス。
「だから『ハイエナ』は今頃、計画を練り直しながら逃走中かーそろそろ最終局面だねえ」
太宰はニッコリと笑った。