第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
「何だよ、難しい顔して」
「いや、逆だ」
「あ?」
給仕が注文したケーキを届けて去ると、アリスは中也からケーキに集中しながら口を開いた。
「『電子学館』に製紙工場の『黒真珠』……最初から仕組まれていたのかもね。前回失敗したプランがAだとしたら『黒真珠』を使用するプランBが初めから存在していたのかも」
「!」
その言葉にピクッと中也の眉が動く。
「そう考えれば話が繋がる。『黒真珠』の奪取に邪魔な連中を他の誰かに始末させるために情報操作を予め行ってたのかもしれない。この界隈の暗事を揉み消す力を持つポートマフィアなんてうってつけだもんね」
「そうすりゃあ『あの取引』の指定場所がこの近辺だったことも、その情報が『黒真珠』悪用を示唆する組織の存在についてだったことも説明がつくな………糞ッ。良い様に利用されてたってことか」
『あの取引』とは恐らく、カルマ達が盗撮していた取引のことだろう。
アリスは勝手に解釈してケーキを食べる事に集中している。
否、中也の次の発言を待っているのだ。
「ヤられたもんはやり返さねぇと気が済まねえ」
「流石ポートマフィア。執念深いねっ!」
「愉しそうに云うなや。俺がこう云うのを待ってたンだろ?」
「正解♪」
最後の一口を頬張ってアリスは中也に端末を提示した。
表示されているのは地図。
所々に赤い点が付いている。
「……監視カメラか」
「またもや正解。中也兄が『粛正』を行った場所から数粁内のカメラをハッキングした」
「つくづく手前が敵じゃなくて善かったって思うぜ」
仕事の早さに感心しているのか、此方側の住人を辞めた筈なのに容赦ない行動に呆れているのか。
中也は息を吐きながらポロリと本音を漏らす。
「私と中也兄の仲なんだから持ちつ持たれつでしょ」
「違いねェ」
認めてしまった以上、今からアリスが言葉にする事は容易に想像が着いた。
「中也兄が粛正を行った時間帯に13台の車が各々違う道を選んでその場を離れてる」
「13台もか」
「残りの『ハイエナ』は13人も居ない。外注の人間も混ざってると思うんけど流石にこれら映像だけじゃ割り出せない」
「……要はしらみ潰しに13ヶ所凡て当たれって事だろ?」
「話が早いねー」
アリスはニコニコ笑いながら頷いた。