第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
時刻は午後6時ーーー
橙色に染まる教室で磯貝とカルマはパソコン画面とにらめっこを続けていた。
グラフの高低差を見る限りでは丁度良い、云われた通りのタイミングで釦を押せた様だ。
「そろそろ帰ってくるかなーアリス」
「そうだね」
そんな話をしていたと同時にアリスが教室に入ってきた。
「お疲れ様ーどうだった?」
「あ、アリス……!」
「!?」
其方の方をみて2人は固まった。
着替えてきたのだろう。アリスは私服を纏っている。が、2人が固まっているのはそんな事が理由ではない。
「古い校舎だなァ」
ーーー今の空と同じ髪の色をした男がアリスの後ろに居たからだ。
以前、本気で自分達を殺そうとしたマフィアの男。
そんな事お構い無しにアリスは画面を確認する。
「おー!絶妙~流石、反射神経を鍛えてるだけある」
愉しそうにパソコンを操作しながら云うと、その画面を見るべく男も近付いてきた。
「見せろよ」
「ん」
パソコンを中也に渡してアリスは封筒を磯貝に渡した。
「………有難う」
受け取りながら礼を述べるも視線は中也に向いていた。
「ずっと画面と睨めっこで幾らやったんだよ」
「二千円」
「はあ?お前コレ、5億は儲けてンじゃねえか」
「「5億ゥ!?」」
中也の声が固まっていた思考を打ち砕いた。
ガタッと勢いよく立ち上がった2人の方に視線を移すアリスと中也。
「えっ………億万長者……たったワンクリックで?」
カルマは尋ねた。
「そうなるねー有難う」
「もう少し分け前弾んでもいいんじゃねえの?」
「一般人の子供が持つ金額じゃないよ」
「まあ、違いねえか」
中也はパソコンを閉じてそのまま抱え込む。
「これで用事は終わりか?」
「うん。アッシー有難う」
「俺が運転したわけじゃねェから大したことねえよ」
アリスの頭をワシャワシャと撫でてやる。
その行為を嬉しそうに受け入れているアリスは自分達と同じくらい子供っぽく見えた。
「じゃあカルマも磯貝君も気をつけて帰ってね」
「………あ…うん」
「……また月曜日ね」
まるで仲の良い兄妹の様な2人を、カルマと磯貝は見えなくなるまで見送ったのだった。