第19章 異世界コラボ~暗殺教室編~
次の日―――。
磯貝は学校の中庭で内職のリストを眺めながらこっそり溜め息を着いた。
「はぁー。後2日で2000円なんてあるわけ無いよなー」
「2000円?何か要り用なの?」
「わっ!」
独りしか居ない場所で息を潜めてリストを見ていたため、突然掛けられた声に驚く。
掛けた本人はクスクス笑ってゴメンねと謝る。
最近、やって来たアリスだった。
「夢宮……脅かさないでよ」
「アリスって呼んで。苗字、キライなんだ」
そういうことなら。と笑ってから磯貝は続ける。
「この間のマフィアの件といい、アリスって神出鬼没だよね」
「そう?」
隣に座って、磯貝が手にしていたモノをヒョイと取って目を通しながらアリスは返事する。
「中庭に『気配を圧し殺している人間』の存在を感じたから見に来ただけで、偶然じゃないんだけどね」
「えっ……!?」
磯貝は驚く。
そんなことお構いなしにアリスは視線を紙から外すことなく続ける。
「『前回の件』も。あの日、あの時間、あの場所で『取引』が行われることは知ってたから。偶々、先に貴方達が覗き見してただけで」
「……。」
読み終わったのか、
「はい」と返された紙を受け取ってアリスはニコッと笑った。
「物事は必ず何かに繋がっている。『偶然』や『奇跡』なんてものは無いよ」
「……。」
ポカンとした顔をしている磯貝。
「現実的だね……」
そして漸く絞り出せた答えと共に苦笑する。
「でも『運命』っていうのは存在するんだと思う」
「運命……」
アリスは突然、立ち上がった。
それもその筈だ。
そろそろ教室に戻らなければならない時間を時計は指していた。
「何に使うか知らないけどお金が要り用ならバイトしない?」
「え?」
前触れなく言われる話。
「放課後2時間、時給千円」
「お願いします」
内容も聞かずに即答する磯貝。
その対応を見て、アリスは笑った。
「私の持ちかけた話だから良いけど、こういった類いの話は裏があるから気を付けなきゃダメだよ」
「解ってるよ」
ならいいや、等と話ながら2人は教室へと戻っていった。