第3章 人攫い
―――
「お外だ!!」
「お家に帰る!!!」
屋敷を出た瞬間に、子供達が笑顔ではしゃぐ。
其れを見て複雑な顔をするマフィア一同。
其れに気付き、アリスが子供達に言う。
「皆……『お休みなさい』」
子供達の『睡魔』を呼び起こす。
直ぐに全員、その場でばたりと倒れた。
「この子達を始末するなら先ずは私からだよ、中也兄。」
「……。」
そして中也の方を見る。
その眼に宿るは敵対心―――。
部下達の顔が一気に青褪める。
拘束した▲▲すら、子供達が一斉に倒れたのを見て震えていた。
「おい。」
中也は部下に▲▲と●●嬢を連れて先に帰るよう指示した。そして、全員が去ったのを確認してアリスと向き合う。
「あのUSBには俺達ポートマフィアの名を語って臓器売買した記録が入ってる。その偽造データの入手先を吐いてもらわねーと。」
「▲▲は如何でもいいよ。問題は子供達だよ。」
「其れこそ如何でもいい。餓鬼に関しちゃ●●嬢を連れて帰るよう命令されただけだ。他の処分は命令されてねーよ。」
「……。」
嘘は付いてない。
でも。
「目撃者を消すのが鉄則でしょ?」
「だったらお前が消しとけ。出来るんだろ?」
そういうとアリスに背を向ける。帰る心算なのだろう。
「有難う中也兄。でも本当にいいの?割に合わないでしょ?」
「誕生日プレゼントだ。」
「!」
じゃあな、と歩き出す。
「中也兄、武装探偵社が此の件で動いてるから。気を付けて帰ってね!」
此方を向くことなく手だけ挙げて反応する中也をアリスは姿が見えなくなるまで見送った。