第18章 異世界コラボ~銀魂編~
―――
「あっくん……大丈夫アルか?」
「ははは……これくらい大丈夫だよ」
殴られたのか。
口の端から流れた血を拭いながら笑顔で答える。
「ごめんアル。私のせいで……」
「神楽ちゃんのせいじゃないよ」
「でもっ…!」
「僕も誘拐されたりしょっちゅうのことだから気にしないで」
笑うと神楽が目を見開く。
「あっくんも特殊アルか?」
「自分じゃ判らないけどね」
「お互い苦労するアルな……」
「そうだねー」
少し落ち着いた様子で神楽が膝を抱えて座り直す。
手には手枷。足には足枷。
対 夜兎用のモノのようだ。
敦にも同様のモノが嵌められている。
「クリスマス前なのに最悪アル」
「明後日がイブかー…月日が経つのは早いね」
「あっくん達のところもクリスマスってあるの?」
「あるよー」
こんな状況にも拘らず。
否。こんな状況だからか。
努めて明るい話題で神楽の気を紛らわせる敦。
アリスちゃんなら、そろそろ異変に気付いてくれる筈―――
其れまでは自分に出来ること……
神楽ちゃんを守らなきゃいけない
そう心の中で強く思った瞬間だった。
ガチャリ
「「!」」
囚われている扉が開いた。
神楽たちを襲った連中のリーダー格だろう。
先刻、沖田達と取引を行った輩が口を開く。
「貴様等を人質に真選組と取引を済ませてきた。明日まで逃走など考えないことだな」
「何だって……?!」
ニヤリと笑って告げた男に反応する2人。
「一体、何アルか!?ゴリ達は何も関係ないネ!私に用があるならさっさと済ませるヨロシ!」
今にも飛び掛かりそうな神楽を慌てて敦が制止する。
「アイツ等は人数は多いからな。材料には丁度いい」
「!?」
材料だって……!?
敦の眉間に皺が寄る。
「明日にはお仲間達と会える。まあ、最期の別れになるがな」
そう云って立ち去ろうと背を向けた男。
今しか、無い!
異能力―――『月下獣』
バキィ!
綺麗な音を立てて枷が壊れる。
「何!?」
「ウォオオオオ!!」
虎化した腕を振り上げ、飛び掛かった。
否。
飛び掛かろうとした瞬間だった。
シュオオオオオオオ…………
「「!?」」
男がスプレー缶のようなものを投げると、煙が充満した。