第18章 異世界コラボ~銀魂編~
―――
額に冷たい感触がする。
ハッ
「!」
妙は目を開けた。
目の前にあるのは――――
「起こしてしまったかな?」
「……太宰さん」
苦笑した太宰の顔。
アリスの云った通りだ。
居ない筈の太宰が居たのだった。
「大分、熱は下がったみたいだね」
額に乗せていたタオルを冷たい水で冷やし直す。
「あの……どうして此処に。お仕事は?」
「今は休憩中だよ。なに。妙さんが心配する事なんか無いさ」
笑顔で桃の缶詰を取り出す。
「少しは食欲あるかな?」
「はい……」
―――。
「アリスちゃんに会いました」
「へぇー……意地悪な話し方だったでしょ」
「そんなこと無いですよ」
太宰は驚くことなくクスクス笑って云った。
「そのアリスちゃんが『起きたら太宰さんが居る』って云ってました」
「へぇー。アリスが寝込んでも戻ったりしないけど。私の行動が読まれていたのか」
「美人に優しいからって云ってましたよ」
「心外だな。基本的に誰にでも優しい筈なんだけど」
「ふふっ。そうですね」
妙が桃を食べ終わった。
太宰が薬を渡し、それを飲む。
「何か食べたいものとかないかい?帰りに買ってこよう」
「大丈夫です。気を使わせてしまって申し訳無いですわ」
「気など使ってないよ。下心ありきだから」
「……え……」
太宰はクスッと笑うと立ち上がった。
「私は仕事に戻るよ。何かあったら連絡してくれ給え」
「……。」
妙は返事しなかった。
太宰は行ってきますとだけいうとそのまま出ていったのであった。
パタンと扉の閉まった音の後に響く静寂の音―――。
「下心なんて……」
下がった筈の熱が振り返したように
顔が真っ赤な妙の呟きが静寂の音に飲み込まれた。