第18章 異世界コラボ~銀魂編~
敦は少し悩んだ。
しかし、新八は返答を急かすことなく待ってくれている。
敦は決めた。
「太宰さんは元マフィアだよ」
「!」
本当のことを云うことを――。
新八は驚いたが、直ぐに笑った。
「そうなんですね。ってことはあの事も本当か」
「あの事って?」
会話が上手く成立した事に、安堵して、今度は敦が質問する。
「太宰さんがさっき僕に云ったんですよ」
「……何を?」
何となく。
嫌な予感がした。
「『私はお妙さんを口説こうと思う』って。『元マフィアだから望んだものを手に入れたいと思ったら手段は選ばない』って笑顔で云ってました」
「はは…は…はは…………太宰さんらしい………」
ひきつった笑顔をする敦。
そんな敦を見て、新八は満足そうだ。
太宰は手段を問わずに自分の姉を望んでいるのだと。
若し、そうならば。
きっと帰りたくないと妙は言い出すだろう。
それでも良いと思ったのだ。
姉が幸せならばそれで―――。
敦は、そんな新八の心中をきちんと理解した。
理解した上で、答えていなかった事に返事をする。
「新八君。その手紙は隠れて渡す必要は無いよ」
「え?」
「手紙の内容は判らないけど…太宰さんがそう云ってるならお妙さんに不安を与える様なことしない方が良いから」
「!」
ニッコリ笑っていった敦の姿を見て。
新八は「そうですよね」と呟いて、ポケットに仕舞った。
「姉上はアリスちゃんに会ってないから、僕が思っている以上に不安で仕方がないみたいですしね」
それが合図だったようにお互いの姿が薄れていく。
「あ、朝かな」
「手紙は必ず渡しますってアリスちゃんに伝えてください」
「うん。有難う」
こうして、白の空間は本当に白一色になった。