第3章 人攫い
「ネックレスを探すために落とした周辺の防犯カメラをハッキングしたの。」
「防犯カメラで捕らえられる場所で犯行する訳ねーだろ。現に、俺達も映像を解析までした。」
「一部さえ映ってれば、その映像の映らない場所を見ることなんて容易いよ。」
「「「!」」」
そうだった。
他の連中は驚愕の声を上げているが…。
元よりアリスの能力がそれを本当に可能にすることを周知していた中也だけは頭を抱えた。
「そ…そんなこと出来るんですか?」
「うん。一部さえ映ってれば、その時間の周辺くらいは。中也兄なら知ってると思うけど。」
最初からアリスに依頼しておけば、と後悔しかない。
此処に辿り着くまで3日も要した疲労が急に襲ってきた気がした。
「其れで、私のネックレスを持ち逃げしようとしている女の子の映像を発見して、映像を追ってたら途中で、黒尽くめの連中に誘拐されちゃったみたい。
で、仕方なく誘拐先である此の屋敷まできたの。」
一気に話し切るアリス。
部下連中は、ポカーンと口を開けて話を聞いている。
「……其処まで解ってるなら話は早えーな。ボスの傘下でエリス嬢と仲のいい●●嬢が拉致された。」
「●●って…あの有名な政治家の一人娘?ポートマフィアの傘下だったんだ。」
「嗚呼。」
「ってことは、此処は政治家の▲▲の屋敷?」
「中りだ。本当に話が早くて助かるぜ。」
溜め息を着いて答える。
「……いや、何で判ったんですか?」
「ん?足の引っ張り合いをしてる事は私たちの間では有名だからね。」
部下の質問に笑顔で答えるアリス。
「でも、そんなことは如何でもよくて。只、エリス嬢の遊び相手が居なくなった上に、そこそこ●●嬢が気に入っていた森さんに泣きつかれたからという理由で駆り出されたと。」
「…それも中りだ。」
道理で。と納得するアリス。
「「「………。」」」
そんな2人の会話を黙って見ている部下たち。
何でこんな子供が、マフィアと普通に会話できてるのだろうか。
と言うより、機密事項を知ってしまった以上、処刑されるのではないだろうか。
というか、本当はポートマフィアの一員なのでは……。
部下達は疑問で頭が一杯だ。
そんな部下たちの内の1人が何かを思い出し、アリスに話し掛けた。