第18章 異世界コラボ~銀魂編~
――気配に気付かなかった?有り得ない……
内心では動揺しつつもいつも通りに振る舞う。
「あの情報を何処から得た」
「……。」
鋭い目でアリスを射ぬく。
女子供はおろか、大の大人でも泣き出す程の圧迫感がアリスを包む。
「『鬼の副長』……異名通りの人だね」
「!」
しかし、だ。
そんな土方に一切怯えずにクスクス笑始める。
それどころか―――
「見えるんだよ……」
「っ!?」
逆に土方がビクリとする程に神妙な声を出す。
「さっきのだって男の人の両親が私の元にネックレスを持ってやって来たの」
「……ゆっ……幽霊なんて……居るわけ」
「そう。まあ信じなくても良いよ。正直、私にはハッキリ見えるから最初はあの人のご両親も生者だと思ったし」
「………。」
土方の顔が青い。
「『これで息子を悪の道から救って下さい』って言われて着いてきたら此処だった。だからホラ。鍵が閉まってた筈の部屋が開いたでしょ?調べてもらっても良いけど私は鍵なんて持ってないよ?」
「……。」
アリスの言っていることは嘘ではない。
確かに鍵は見張りの人間がきちんと所持していた。
そう。
この餓鬼は見張りにすら気付かれずに鍵の掛かった部屋に入ってきた…………
幽霊が力を貸してくれたからと言われれば信じざるをえない状況。
「今、総くんにも同じことを訊かれてて話してたところだよ」
「信じられねェが信じざるを得ない状況でしたからねェ。それなら未だ容疑を認めてねェ殺人犯のところに連れていこうか算段をしていたところでさァ。殺された人間なら怨みで傍に居るかもしれねェ」
沖田がアリスに乗っかって土方に言い放つ。
「あ、鬼の副長って言ってるのは隣に居る……」
「もぉいいからあああ!!君の力を信じますぅぅぅぅ!序でに隣の人もどうにかして下さいぃぃぃ!!」
「そこまで云うなら仕方無いなあー」
アリスがニヤリと笑って土方の肩をポンポンと叩いた。
「あ。軽くなった!」
「成仏したんだよ。もう行って良い?私、お腹空いたから総くんにご飯をご馳走になる予定なんだけど」
「よし総悟!しっかり美味しいものを奢って差し上げろ!」
「へーい」
土方は清々しい笑顔を浮かべて二人を送り出したのだった。