第18章 異世界コラボ~銀魂編~
「あーあ。突然なにするの?私、金槌で人を殴る趣味なんて無いのにー」
土方の反応には全く答えずに、そんなことを口にするもクスクス笑っているアリス。
「最初からこうなることを判ってたわりには手加減しなかったようですねェ」
「私が悪いの?」
「まさか」
沖田もニヤリと笑っている。
男は咄嗟に出した右手を押さえて声にならない声を上げながら痛みに堪えているようだ。
「実験に成功した暁には一番最初に両親と、その事故を起こした『若者カップル』を入れ替える予定だったのね」
「っ!?……なんっ……そこまでっ……」
アリスを見ながら呻くように声をあげる。
「知ったら貴方、死んじゃうけど其れで良い?」
「!?」
男の顔が引きつった。
その隙に、手に持っていたネックレスをヒョイと奪い取るアリス。
「っ!…返せっ!」
「貴方のじゃ無いんでしょ?返せなんて厚かましい」
「!」
クスリと笑って返すアリス。
『自分は黒だ』とハッキリと言ったも同然の状況に観念したのか。
男は脱力したように椅子に座った。
「話してよ。全部」
―――
「いやー助かりやした」
「それは良かった。お礼は夕飯でいいよ」
取調室から退室しながら話すアリスと沖田。
男は暫くの間、無言を貫いていた。
しかし。
『譬えどんなことをしても死んだものは甦ったりしないよ。若し仮に実験が成功したとして、貴方の両親が戻ってきたならば。「それ」は貴方の両親じゃない別のモノだよ』
『なんでっ……そう言い切れるんだよっ!』
男が激昂する。
それでもアリスは全く怯まなかった。
『貴方のご両親はずっと貴方の後ろに居るからだよ。貴方が気付いてないだけで』
『!?』
アリスの此の一言で男は後ろを見る。
「…父さん……母さん……」
そして暫く其方を眺めた後に、ポツリポツリ言葉を紡ぎだした。
件の。
『入れ替えネックレス』と云うらしいネックレスを用いて▲▲星の連中が生者と死者を入れ替える事を思い付いたことも。
その実験に荷担していたことも。
その資金を稼ぐために密輸の手伝いをしていたことも。