第18章 異世界コラボ~銀魂編~
「判んないよ」
アリスはハッキリと告げた。
そんなアリスを目を見開いて見つめる神楽。
今にも泣きそうな顔をしている。
「私はそれが悪い事だと思わないから」
「……え?」
食べ終わって次の蜜柑に手を伸ばす。
「こうして普通にしてる神楽ちゃんだって、血を求めて暴れるのだって同じ神楽ちゃんでしょ?」
「でもっ……!」
「人を傷つけるのは悪いことって思ってる?」
「うん……」
落ち着いたのか。
先程と同じようにストンと座る。
「そう思って自分を変えたいって思ってるだけ神楽ちゃんは偉いよ」
「……アリスは思わないアルか?」
「思わないよ?」
「えっ」
思わぬ返しに驚きの声を上げる神楽。
「私は私が可愛いから。私の敵は躊躇い無く殺すし気にもしない」
アッサリ云うアリス。
本当か嘘か判別しにくい言い方。
「アリスって変わってるアルな」
「そうかもしれないね」
ニッコリ笑って云う。
嘘か真か。
神楽にはどうでも良かったのだろう。
「私は総くんと似てるんだと思う」
「……そうかもしれないネ」
自分を肯定も否定もしないで受け止めてくれたのだから。
沖田と同じ様に。
「それはさておき」
「?」
気が付けば蜜柑の皮が山積みされている。
「神楽ちゃん、蜜柑を握り潰して汁をこの中に溜めて欲しいんだけど」
「潰すアルか?勿体ないネ!何するアルか?」
目の前に5個ほど蜜柑を積まれて問う。
「蜜柑の汁でお手紙を書きたいの」
「ミカン汁で?」
「そう。炙り出しって知ってる?」
「知らないアル」
「百聞は一見に如かず。試しに観ててよ」
湯呑みに1個分の汁を容れる。
雑貨屋で買っていたのだろうか。羽ペンの先を汁に付けて何やら文字を書くアリス。
「本当は自然に乾くまで待つんだけど今回は省きますよー」
『ワンダーランド』を発動して神楽に気付かれない程度に風を起こす。
「じゃ、見ててね」
そう言って下からライターで紙を炙る。
「わあ!?」
そうして浮かび上がってきた文字を見て驚く神楽。
「面白かった?」
「面白かったアル!私もやりたいネ!」
「じゃあ蜜柑を搾ってくれるかな?」
「いいともー!」
笑顔で蜜柑を絞り出す神楽に、神楽の分の羽ペンを渡す。