第18章 異世界コラボ~銀魂編~
屯所への道中――
「そういえば何で誘拐なんてされたの?」
「んー?」
敦の質問をウトウトしながら聴いている様子のアリス。
「敦君のその言い方じゃ『アリスは誘拐なんかされない筈無いのに』って意味に聞こえますねィ」
その隣から、見事にサボリを決め込んだ沖田がツッコミを入れる。
「まあ、本当にその意味で訊いたんでしょ?あっくん」
「!」
「……うん。まずかったかな?」
苦笑しながら敦が云う。
驚いているのは沖田だけだ。
「矢っ張り帰りたいからそろそろ動こうかなって思って」
「……屯所で誘拐されたんじゃなかったんですかィ?」
「いや、そうだよ。今からどうしようかなーって考えて廊下に出た瞬間に拐われちゃった。神楽ちゃんと見紛った様だね」
「……。」
何事でも無かったかのように話すアリス。
「神楽ちゃんは喉から手が出るほどに欲しい子なんですね」
「アイツの種族は特殊だからですねィ……」
敦の言葉。
それに無表情で返事する沖田。
「まあアイツの事は置いといて。俺もアリスに訊きたいことがあるんですけど」
「んー?何故誘拐されたか?」
「それも気になりますが……その足」
「「足?」」
アリスと敦の声が重なる。
ピッと伸ばしたアリスの足を二人して眺める。
真っ白な足。
「ああー……訊きたいことが判った。答はねー」
「?」
沖田の質問の意図が理解できたアリスは敦に降ろしてと云う。
敦がしゃがむ。
「!?」
「こういうこと」
目を見開いている沖田にニッコリ笑って云う。
「………どういう手品ですかィ?」
全く気付かなかった先程とは違い、地面から10糎は浮いているアリス。
「地面に着く前に次の足を踏み出してるんだよ」
「……。」
「アリスちゃん、流石に無理がある説明だよ」
「あははっ」
敦のツッコミに笑って反応すると、ピョンっとまた背中に飛びついて担いでもらう。
「云ったでしょ?『その気になれば空だって飛べる』って」
「……アリスは鳥にでも変身出来るんですかィ?」
「おー!流石総くん!頭が良いねぇ」
ケラケラ笑いながら答える。
勿論、敦は聞かない振りをして会話に混ざらない。