第18章 異世界コラボ~銀魂編~
「うーん……。今一ピンとくるものが無い……ん?」
アリスが手に握っていた紙をポイッと投げる。
そして、最後に残った紙に目が留まる。
「『研究資料』……?」
題目を口に出して直ぐに内容を読み上げる。
「アリスちゃん……?」
密輸と聞いてから捜査を始めている沖田と黙って何かを読みはじめたアリス。
そんな2人に取り残された敦が小さくアリスの名前を呼ぶ。
「あったよ……あっくん」
「え?」
名前を呼ばれてアリスの傍による。
「ネックレス」
「「!?」」
アリスの言葉に沖田も手を止めて近寄ってきた。
その紙を沖田に渡す。
「その実験結果を纏めたのは○○って人みたいだね」
「天人が地球人に頼るなんてねィ」
紙を見ながら沖田がぼやく。
「有り得ない話なの?」
「考えにくいだけでさァ。前にも言ったが天人たちの方が地球よりも発展した技術を持ってることの方が多い」
「そう云われると確かに信じ難いですよね」
敦が沖田に同意する。
「総くんは何で『密輸』が起こると思う?」
「何ですかィ?急に」
アリスの質問で紙から漸く視線を外す沖田。
「曰く付きのモノ、関税を逃れるため、犯罪性のモノ。様々な理由で『密輸』するんだろうけど」
そんなことは判っている。
そう云われても当然の如く誰でも知るような常識をアリスは述べたに過ぎない。
「その金は犯罪組織に流れている可能性が高いから。要は犯罪者が金を稼ぎたいからじゃないですかィ?」
「結論はそうだよ。でも私の質問の意図している事とは違う」
もう用が済んだのだろう。
アリスは部屋から出ていこうとしているのか、部屋の扉の方へ歩みを進める。
それに続く敦と沖田。
「答は何ですかィ?」
敦が派手に壊して出来た穴の前で沖田が訊ねる。
「需要」
「え?」
「は?」
思いもよらない短い回答。
「『需要』があるから『供給』される。密輸だろうとなんだろうと根本は同じ」
「……。」
「ごめんアリスちゃん。何時ものように噛み砕いて云って欲しいんだけど……」
敦が完全にお手上げの状態で声を掛ける。