第3章 人攫い
「御免で済んだら警察要らないけどね?」
笑顔でアリスが言う。
6人がびくっとするのを見て満足そうにしているアリスの頭を中也が軽く叩く。
「それぐらいで勘弁してやれ。十分過ぎるだろ。」
「安心して。言ってみたかっただけだよ。」
6人が安堵の息を付く。
2度と逆らわないと心のなかで固く誓った。
「で?」
「で?」
首を傾けて質問を質問返しするアリス。
「此処にいる理由だよ。」
「嗚呼、そうだった。実は、」
もし本当に敵だったら如何すればよいか。
アリスにまじまじと力を見せつけられた6人と中也に緊張が走る。
「ネックレス探しに来たの。」
「そうか、矢っ張り敵…は?」
「「「「「「え?」」」」」」
よっぽど大事な物なのか。
「昼間に無くしてからずっと探してるんだけど見つからなくて……。」
珍しくシュンとするアリスに舌打ちする。
「…どんなヤツだよ?」
「!探してくれるの?」
満面の笑みで中也を見る。
そっぽ向いて「序でだ」と言う中也を部下がニヤニヤ見る。殴った。
「薔薇が絡まった鍵の形の飾りが付いたネックレスなんだけど。」
「鍵?」
特徴に激しく覚えがある。
「此れか?」
中也はポケットを漁り、先刻拾ったネックレスをアリスに見せた。