第18章 異世界コラボ~銀魂編~
そして時計に目をやる。
そろそろ出勤しないといけない時間だ。
新八は立ち上がって食器をもって台所へ向かった。
「!」
其処で見た太宰の表情。
何か辛いことを必死で耐えているかの様な――
「ああ、そろそろ出ないと遅刻するね」
新八に気付くと直ぐに何時も通りの太宰に戻る。
「如何かしましたか?」
「……聞きたいかい?」
が、また先程と同じ顔。
唾を飲み、意を決してコクッと頷く。
「………手紙を燃やしたんだけどね」
「はい……」
深刻な顔。
「既に時間切れだった様だ」
「……え」
そういって左手を見せてくる。
「火傷した」
でっかい水疱が出来ている。
「アンタが素手で燃やしたりするからだろォォォ!?」
「いやいや!決して私のせいではないよ!?此れは巧妙に仕掛けられたアリスの呪いのせいでっ!」
「何でもかんでも呪いのせいにするなァァ!」
「いやー新八君のツッコミは切れが増していくねぇ」
あははーと笑いながら太宰は玄関に向かった。
「じゃあ行ってくるよーお妙さん」
しっかりお妙に声を掛けて。
「あ、はい。行ってらっしゃい。気をつけて」
2人は家を後にした。
「本当はアリスに会ったのだろう?」
「何で判ったんですか?」
「ふふっ。秘密」
笑顔で云う。
「太宰さんが心配していたと云ったら嘘吐き呼ばわりされました」
「あはは。それはそうだ。アリスは嘘が見抜けるからね」
「心配してないんですか?」
「してるよ」
「じゃあ何故」
「私は君の前でアリス『を』心配だと一言も云ったことが無い筈だよ。今が初めてだ」
「え……」
今までの会話を振り返る。
そして、昨晩アリスが云っていた言葉。
『治兄が私を心配することなんか無いよ。心配するとすれば相手の方』
「あ……」
確かに。
新八が納得した。
「アリスの嘘発見機能は万能だからね。絶対に欺けない」
苦笑しながら答える太宰。
「なんか悪いことをしてしまいましたね」
「気にしなくて良いよ。アリスは判ってる筈だから」
「え」
太宰を見上げる。
ニコニコして笑っている。
もしかしたらこの2人に会話は要らないのかも知れない
新八はなんとなく思った―――。