第18章 異世界コラボ~銀魂編~
『不幸の手紙』―――不吉なタイトルで始まった手紙。
治兄へ。
元気にしてますか?きっとしてますよね。私が居ない方が仕事や悩みが減るからきっと生き生きしていることでしょう。私は此方でお金が無いから稼ぐ方法を一生懸命考えていると云うのに……腹立たしい。
何故、こんな手紙を書いたかと云うと昨日ふと思い出したことがあったからです。
12月24日に某ケーキショップの苺タルトを予約していたことを!
食べたかった……それだけが心残りです。
仕方無いから譲ります。でも未だお金は払って無いけどね(笑)
前日一杯が期限です。是非とも入金して食べて下さい。お金は台所の左の引き出しの封筒に入ってます。
感想を待ってます。
あーあ。私が一人で食べる予定だったのに。
食べ物の恨みをこの手紙に込めて。
追伸。
読んで30分以内に燃やさないと痛い目遭うよ?
アリスより。
「「……。」」
言葉が出ない。
律儀な子だとは思う。
1枚で収まってしまった手紙ゆえに一般常識である白紙便箋を添えるとか。食べられないケーキのお金の在りかとか、期限とか。
なんだろう。態々手紙を寄越してくるような内容では無いような…
ツッコミを入れるべきか否か悩んで止めると太宰がその手紙を返すように促す。
そして、立ち上がって台所へ向かおうとした。
「太宰さん?」
「燃やさないと本当に痛い目に遭うからね。燃やしてくるよ。危ないから此方に居たまえ」
「あ、もしかして異能力ですか?」
「ふふっ正解。アリスは何でも出来るからね」
そう云うと台所へ行った。
そんな太宰を見送って妙が新八の方を向く。
「ねえ新ちゃん。アリスちゃんってどんな娘だった?」
「え?」
「私、きちんと代わりを果たせてるかしら?」
「姉上…落ち着いてください」
机から乗り出してまで新八に詰め寄る。
『私と会ったって云わないで欲しいんだ』
『別に云っても良いけど貴方が困ると思って』
こういうことだったのか!
新八は言葉を詰まらせて、
「その手紙は敦君から言伝されたものでして、本人には会ってません!」
「え…そうなの…?」
拍子抜けしたように元の位置に戻る。
その姿をみて新八は安堵の息を漏らした。