第18章 異世界コラボ~銀魂編~
「アリスちゃん……凄いね。何か習ってたの?」
「昔ね。何かあったときの為にって基本的な体術を教えてもらったんだよ。」
「太宰さんに?」
「否、その相棒だった人に。」
「へぇー。」
きっとポートマフィアの人間に習ったなんて思って無いだろうな
敦の返事を聞きながら思うアリス。
「まあ、対 竹刀だったから勝てたんだよ。」
「そうなの?」
「うん。竹刀は約120糎って長さの規定があるんだよ。通称『サブハチ』」
「あ、聞いたことあるかも」
「此処の竹刀も見た感じそれくらいでしょ?」
敦は周囲を見渡す。
「えっと……ほんとだ。それ位の長さだね。」
「つまり、120糎さえ離れていれば私にその切っ先が当たることはない。」
「……成程。」
「そして皆の身長は私よりも高い。私は140糎弱だから平均すれば凡そ30糎くらいかな。ってことは、普段の練習よりも30糎下に振り降ろさなければいけなくなる。」
「「「………。」」」
アリスの説明を敦以外の連中も黙って聞いている。
「その30糎の差を埋めなければいけないんだけど必要なのは速度」
「そうか、何時もより速く振り下ろす必要があるのか」
「そう。でも油断していたとしか思えないよ。はっきり言って遅すぎる。」
「「「………。」」」
アリスはバッサリと言う。
こんな小娘に…等と反論できる人間など一人も居なかった。
正論だったのだ。
どうみたって何処にでも居るような普通の少女だ。神楽の様に戦闘馴れしている雰囲気もない。
それでもアリスと手合わせした者達は、竹刀を構えて少女を囲んだ時には気付いていた。
この状況で一切揺るがない空気。
恐怖を抱くことどころか、動揺すらしないで平然と見据える少女は、只者ではないと。
ただ、気付くのが遅すぎた。
此方の心構えが変わりきる前に勝敗はついてしまったのだ。
油断以外の何物でもない。
「戦場なら死んでるかもね?」
クスクス笑うとアリスは男達に向かって手を出す。
「「「???」」」
全員がポカーンとしてアリスを見る。
「500円。約束でしょ?」
首を傾げ、ニッコリ笑うその姿は何処からどう見ても可愛らしい少女。
負けた男たちは財布を取りに部屋に帰っていったのだった。