第18章 異世界コラボ~銀魂編~
「ああ、大事な商品だからな。」
「……商品。」
ピクリと反応する敦。
アリスは周囲を窺う。目の前の男並みに体格の良い男達が、次々と自分達との間合いを詰め始めているのに気付き、溜め息を着く。
「お前達は何の種族だ?珍しそうだな。高く売れそうだ。」
「何を言ってるんだ?人間以外な訳無いだろう?」
「はぁ?そんなわけねーだろ。特に其方の女」
「私も人間だよ?まぁクォーターらしいから純日本人では無いけど」
「え!そうだったの!?」
「うん。興味ないから詳しくは知らないけど隔世遺伝みたいなんだよ」
衝撃の事実にこの状況より驚く敦。
アリスはクスクス笑って、そうだ、と何かを思いつく。
「あっくん」
「何?」
「何か嘘ついてみてよ」
「え!?急に言われても…」
困った顔をしてアリスを見て、うーん。と考える。
「僕は太宰治だ。」
…………。
「もっとマシなの無かったの?」
「スミマセン」
ジト目で敦を見るアリスに対して直ぐに謝る。
「ところで其れが如何かしたの?」
「取り敢えず『ワンダーランド』が使えるかの確認だよ。どう見てもこの人たち敵みたいだし」
「!」
全く理解出来ない状況。
しかし、冷静なアリスのお陰で然程、慌てることなく目の前の男を見据える。
「私はあの子を見てくるから、あっくんは此方の片付けお願いね?」
「判った」
この人数を任せると云うことは。
「何か判らんが話は終わったか?」
「ああ」
「それじゃ、お前達も俺達の為に捕まってくれや!」
「断る!」
男と敦が一斉に動く。
異能力―――『月下獣』
思った通りだ。
地面を蹴った脚と、男を殴り飛ばすために振り上げた腕が獣のモノに変化した。
「何ぃ!?」
「うおぉぉ!」
ドゴォッ!
自分達よりもかなり小さい男が壁にめり込ませるほどの破壊力をもつパンチを繰り出すことに狼狽する大男たち。
「見た目程、強くなさそうだね」
クスクス笑いながらアリスは拘束されている少女、神楽に歩み寄る。
「おーい。大丈夫ー?生きてますかー?」
少し赤い頬っぺたをペチペチと叩きながらアリスは少女に呼び掛ける。
「……んっ」
「あ、起きた。大丈夫?」
アリスの呼び掛けから直ぐに、神楽は目を覚ました。