第17章 人形の館
国木田と太宰が入れ替わりで入ってくる。
「おー。早かったねえー国兄」
何事も無かったか様に笑顔を作って二人を迎えた。
治兄の機嫌が良くない………
見て直ぐに思ったアリスはトコトコと太宰に近寄る。
「治兄?何で怒ってるの?」
「何でと思う?」
近寄ってきたことを良いことにアリスをギュッと抱き締める。
「うーん……心当たり無いや。ちゃんとご飯も作ってあるしお風呂も後は溜めるだけだよ?」
「何でそんな休日に国木田君と二人で出掛けたりしてるの?」
「何でって国兄がお化けが怖いからって泣きながら電話を掛けてきて」
「泣いてなどおらん!」
国木田の突っ込みを無視して続ける。
「子供が犠牲になってるかもって云ったから」
「………そう。ならいい」
アリスを解放する。
と、いっても抱き締めるのを止めただけで片手は腰に回したままだ。
「私が行くって云っても着いてきてくれていたのだろう?」
「うん」
コクリと頷くアリスを見て少し笑うと、倒れている男達に漸く意識が移った。
「それで?」
「あのオカマが犯人でね。人形に人の意識を移し替えれるらしいんだよ」
「成る程ね」
太宰が館主に歩み寄る。
ガバリッ!
「馬鹿ね!隙だらけよ!」
「!」
突然、おきあがった館主が太宰に攻撃を仕掛けた。
………。
「………。」
「………。」
ポカンとして太宰を見る館主と、何が起こっているのか理解できない太宰。
「ああ。異能を発動したんだね」
手を叩きながら理解するとそのまま男との間合いを告げて、云った。
「私に異能は通じない」
ニッコリ笑いながらポンッと太宰が肩に触れるとカッと太宰たちの後方が光る。
動き出す影―――。
声も聴こえ始める。
「無事に元に戻った……か?」
「国兄、救急車」
「ああ」
国木田が慌てて電話を始めた。
「そんな……私の人形達がっ……!」
ガクッと膝を折りながら崩れ落ちた。
「治兄ーこのおじさん、私のこと人形にしようとしたんだよ」
「へぇーアリスの人形かー」
それは絶対に可愛いね等と笑いながら云う太宰にピタリと寄り添うアリス。
「私の意識が入った人形も、残った人間の身体の方も好き放題するつもりだったんだって」
ピクッ