第17章 人形の館
「今更何人殺そうと大したことではないからね、私」
「「!?」」
ぞわっ!
部屋に殺気が充満する。
「おじさんなんかより其方側にいる歴が長い私に勝てると思っている事が間違いなんだよ」
重力操作を止めて館主に歩み寄る。
「ヒッ……!」
何なの!?この子!
館主が腰を抜かす。
それでもズリズリと後退りしながらアリスと距離をとる。
「それじゃあ?もうそろそろ帰らないと怒られちゃうから」
「いやっ……!ちょっと待って!?」
「嫌いなんだよねー……貴方みたいな大人」
『おやすみなさい』と云い、男を眠らせた。
「「!?」」
見張りの男たちが驚く。
「………姉さん……あの人殺しちゃったの?」
「あははーさあ?」
そう言うと今度は男達に向かっていくアリス。
「っ!」
男達の顔も青褪める。
が、攻撃に出る気配は無い。
「貴方達は何であの男に従っているの?」
「!」
アリスの言葉にピクッと反応する。
「俺達は……」
小さく震えながら口を開く男。
「姉さん……?」
隣に来たアキトがアリスの袖を握る。
「武装もせずにこんなことするとなると殆ど堅気の人間でしょ?」
「!」
「え!?」
アリスの発言内容に驚きを隠せないアキトと男達。
「「「………。」」」
「まぁいいや」
貴方達も眠ってて。
返事が直ぐに返ってこない事が面倒だったのか。
アリスが静かに告げると男達も崩れ落ちた。
「眠ってるだけ?」
「そう。この人達は、恐らく子供を人形にされた父親ってところかな」
「………成る程」
アリスの言葉に納得してから男の人達を一瞥すると、また視線を姉に戻した。
「姉さ…」
「あ、来たかな」
何かに反応して男達の後方にある扉を見る。
そして
「お別れだよアキト」
「え?」
扉を開ける。
「後の事は此方に任せて」
「何の………!?」
バダバタと足音が近づいてくる。
「探偵社の皆に弟がマフィアなんてバレたら大事するからね。アキトのお友だちの事は後で中也兄を通じてお知らせしてあげる」
トンッ
「!」
云いたいことだけ云い終わると扉の外にアキトを押し出した。