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【文スト】不思議の国の異能少女

第3章 人攫い


―――

「いい天気だなー。」

冬にしては暖くなった12月24日の昼下がり。
街はクリスマスイブということもあり、何時も以上に賑わいを見せている。

「折角だしケーキでも買おうかな。」

人々が待ち合わせで使う広場のベンチに座っていた少女は、目的が決まったため立ち上がった。

それと同時だった。
その目の前に男が3人、少女の行く手を阻むように立ちはだかる。
大学生位か。

「?何か御用ですか?」

少女は首を傾げて初対面の男達に話し掛ける。
男たちはニヤニヤしていた。

「君、可愛いね?その髪と眼の色は本物?」

「……。」
嗚呼、軟派か。心の中で盛大に呆れる少女。

「本物ですよ。私、急いでるので此れで失礼しますね。」

ニッコリ笑って男達の間を縫うように通り過ぎようとするも、腕を捕まれて止められる。

「未だ何か?」

呆れた顔をして、男達を見やる。
腕をつかんでない男2人が話し出す。

「見た目より落ち着いてるね、小学生じゃないでしょ?」

小学生。
言われて少女はムッとする。

そりゃ、確かに幼児体型だけども…。

「抑も、学生なんかじゃないし。」

「「「!」」」

ボソッと、つい心の声を漏らしてしまう。
それを男達の地獄耳が拾ってしまう。

「君、社会人なの?!なんだ!ほら、俺の言った通りじゃん!」

「否、まぁ小学生ではないと思ってたさ。」

「いやー、だって格好が少し子供っぽいから。そのネックレスとかさ。」

「!」

予め、人の年齢を想像していたらしい。
3人は目の前でその答え合わせを楽しんでいる。

少女にとって、そんなことは如何でもよかった。
よくないのは―――

「こんな日に独りで寂しでしょ?」

「俺達と楽しいことしようぜ?」

「夜までエスコートするよ。あ、そうだ。そんな子供っぽいネックレスじゃなくてもっと良いものを「馬鹿にしないで。」え、何?」

少女の表情が、笑顔から不機嫌に切り替わる。

「此れは私の大切な人がプレゼントしてくれた大事なものなの。馬鹿にしないで。」

少女は怒りを露にしているが、見た目が男達より幼い―――実際、男達よりも年下なのだが。
しかも女に凄まれても痛くも痒くも無いのか、真面目に聞く気がない様子だ。
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