第17章 人形の館
「『悲しい人形劇』」
「!」
館主がそう言った。
ただそれだけなのにアリスはアキトの手を引いて走って移動する。
「!?」
アリスの行動に館主は驚き、
「うっ!……あ゙」
丁度、アリスの後方。
扉の前に立っていた男が一人、大きく痙攣して、動かなくなった。
「……どう云うこと?私以外には見えない筈なのに……避けた!?」
「眼が良いから」
ニッコリ笑って云うアリス。
その会話を聞いて、何か相手が攻撃を仕掛けてきた事を悟るアキト。
「……そう。貴女も異能持ちね」
「まあ、そうなるね」
アリスが言った言葉に溜め息を着き、いいわと呟く。
「ついでだから見せてあげる。貴方たちが今から辿る末路を」
「一寸待って下さい、○○様!こいつはっ!」
慌てて周りの男たちが止めに入ろうとする。
「大丈夫よ。後で戻してあげるから」
その言葉に安堵したのか、男たちが口をつぐんだ。
館主がパチンと指を鳴らす。
バタンッ
「「!」」
男が眠ったように目を閉じて倒れた。
館主が足元に在る人形のパーツの中から、スポットライトの下に在るのと同じ様に体のパーツが全て揃っている人形を探しだし、触れた。
「!?」
「……そっくり。否、本人なのか」
只のパーツの集まりだった人形が倒れた男そっくりに変貌する。
「私は人間から意識を切り離し、人形に吹き込むことが出来るの」
出来上がった人形を撫でながら自慢そうに話す。
その光景にアキトのしがみつく力が強くなる。
「ふーん。その抜け殻はどうなるの?」
「意識がないだけで生きてはいるわ。病気や事故でなっている『意識不明』の状態と同じね」
成る程。
だから生命反応が沢山あったのか……。
アリスが館主の奥に目を凝らす。
「………。」
綺麗に列を成して何かが在るのが薄すら見える。恐らく、人形にされた子供たちの抜け殻だろう。
「人形は良いわ。勝手に動いたりしないし話し相手になってくれる」
うっとりしながら話し始める。
「意識が無いなら放っておいたら抜け殻は死んじゃうんじゃないの?」
「そうね。だからお気に入りの子は生命を維持してあげて傍に置いてるの」
ピクッ
「……そうじゃない子は?」