第17章 人形の館
「……坊や何歳?」
「………10歳だけど」
アキトが正直に答える。
「ってことは貴女は……」
視線をアリスに移して驚く。
その顔を見てアリスはニッコリ笑った。
「まあ年齢なんて如何でもいいや。問題は見た目なんでしょ?」
「!?」
入り口を塞いでいる男たちですら驚いている。
「……餓鬼じゃないないってことは本当のようね」
「信じる気になったんだー?」
「……。」
クスクス笑うアリスに眉をひそめる。
「まあいいわ。貴方達は中々手に入らない異国人。少し位の無礼は多目に見てあげる」
「「私(僕)達は日本人だけどね」」
「嘘おっしゃい!」
オカマ…基、館の主が大声を出す。
「だったら何?その髪、その瞳の色は偽りだと云うの?」
ビシッと指差しながら云う。
「確かに色彩は日本人離れしてるみたいだけどね」
「生まれも育ちも日本だし」
「親が異国人だったんでしょ!?」
館の主のその発言で、アキトの視線がアリスに移る。
それに気付いたのか。
はあーと溜め息を着いて男の方を見据えるアリス。
「両親の顔なんて微塵も覚えてないけど、髪の色は真っ黒、言語は日本語だったことは間違いないよ」
「……。」
嘘かもしれないな……流石に
隣に立っている姉の髪に目をやるアキト。
「そんな嘘で騙せると思ってるの!?嘘吐きは泥棒の始まりって教わらなかったのかしら!?」
矢張り納得いかないのかツッコミを入れる男。
「教わらなかったけど?それに嘘じゃないし」
プイッと顔を背ける。
「流石に信じてもらえないんじゃない?」
「別に信じてもらう必要は無いよ」
「……それもそうだね」
アキトが小声で同意する。
「まあいいわ。手にいれてからで」
「私、おじさんの所有物になる気なんて更々無いけど?」
ピクッ
「!」
アキトでも判るほど、館主が怒りを露にする。
部屋に殺気が充満する。
「お前から人形に変えてやる」
「ふーん?どうやるの?」
そんなことお構いなしに首をかしげて質問する。
「あれよ」
「「?」」
薄暗い部屋でスポットライトが当たっている場所を指す。
其処に在るのは2体の人形。
頭部とボディ、球体関節で連結された手足がついただけの人形だ。