第17章 人形の館
「そろそろ逃げても埒が明かないかな」
「捕まる気なの?姉さん」
「うん。正直、疲れた」
今日は休みだったのに、とぼやく姉を驚いた顔で見る弟。
「……そんな理由で捕まるの?」
「他に理由なんてある?別にアキトは逃げ続けてもてもいいけど?」
アリスがそう云うとアキトがしっかりとアリスと手を繋ぐ。
「!」
「一緒がいい……」
「……そう」
アキトを見て少し微笑む。
そして、目の前と
「二人とも揃ってるなんて好都合だな」
「挟み撃ち作戦成功だな」
後方から男が二人ずつ現れた。
「………疲れちゃったんだけど出口に帰してくれるの?」
「そうだね。もう閉館時間だからね。一緒についてきたら迷路からは出してあげよう」
アリスの言葉にニッコリ笑って男が答えた。
大人しく着いていくアリスとアキト。
「本当に出口に案内してくれるんじゃ?」
「そんなわけないでしょ」
「でも此方は入り口の方向だよね?」
特に拘束されているわけではなく、男たちに挟まれて歩く二人。
会話は勿論、聞かれているがアリスは一切気にしていない。
「迷路から『は』出してくれるって云ってたけど、屋敷からは出してくれるって約束はして貰えなかったもん。期待しないほうが良いよ」
「「!」」
男たちとアキトが驚いてアリスを見る。
「何?何か間違えたことでも云ったかな?」
「いや……中々に頭がいいなーお嬢ちゃん」
「それほどでもー」
ニッコリ笑いながら何の反抗も見せずに着いていくアリスを警戒しながら男たちは歩いていく。
1つ目の迷路を抜けた……
否、1つ目の入り口だった扉を抜けて、直ぐに右の扉に連れていかれる。
その扉の先にあったのは
「えー階段ー?」
「姉さん……」
もう疲れたのにと、全く緊張感無く呟いたアリスを呆れながら見るアキト
「え……君達姉弟なの?」
「似てないでしょ?違います」
ピシャリと否定するアリス。
「いや、云われてみれば結構似てるような…」
「眼科に行くことをお勧めします。似てません」
完全否定を続けるアリス。
「まあ確かに別々に来てたしな…」
本当にそう思ったのか、気迫に負けたのか。
漸く納得したようだ。