第17章 人形の館
1つ目の部屋、2つ目の部屋、3つ目の部屋と全く迷わずに歩き進むアリス。
一度足りとも行き止まりにぶつかったりしなかった。
本当に迷わないとは……。
そんな後ろ姿を見て、関心しかしない国木田。
途中で脅かし役の人間が盛大に脅かしにくるも全く動じずに
「………捻りが足りないね」
「!」
しらっとした眼差しを向けてはバッサリと言い捨てるアリスに打ちのめされて、とぼとぼと退散していく始末。
どうやら脅かし役はアルバイト……一般の人間が多いようだ。
中には数人、打ちのめされながらもアリスから視線を外さない輩も居たが、国木田が傍に居るせいで手も足も出ずに去ることを余儀なくされた。
「あと何部屋あるんだろう……飽きてきたよ」
「お前らしいな」
国木田は驚きながら進んでいるため『飽きる』ではなく『疲れた』の方が強かった。
そういいながら扉を開ける。
「洋風の部屋……」
「この部屋が最後じゃ無いのか?」
「そうなの?」
「前に入ったことの有る奴の話だとな」
「ふーん……」
アリスがトコトコと歩き出す。
そう云えば……
「他の客と全く会わなかったね」
「!」
アリスの言葉にハッとする。
「………『ワンダーランド』」
目を閉じて気配を伺う。
「あー……駄目だ。反応がイッパイある……」
「人形にも反応してるのか」
「いや……人形の数は今まで通ってきた部屋だけで87体。それに対して反応は200以上ある」
「……お前、人形の数を数えながら歩いてきたのか」
「うん。壁が透明で良かったよ。いちいち行き止まりまで歩かずに済んだから」
ニッコリ笑って話すアリスに言葉がでない。
「それだけ多い反応が在るのに他の客と全く会わないとなると……」
「犯人が大所帯か、或いは人形が他に在るのか、か」
「前者ならどうでも良いけど後者ならなー……あ。」
アリスが国木田に前方を指を差す。
『現実への扉』
出口のようだ。
2人は顔を見合わせると頷いた。