第17章 人形の館
「えー。アリスは迷路の類い駄目なんだよー行かないって云われるもん」
ブーブー云いながら国木田に抗議する太宰。
「アリスちゃん、迷路とか駄目なんですか?」
素朴な疑問を口にする敦。
「駄目と云うか……迷わないんだよ、絶対に」
「え?」
「『ハッピーアンバースデー』が発動してしまうんだ」
『故意に迷わせる』という行為が『危害』に相当するのだろう
「成る程…」
「そう言えば前に入ったお化け屋敷でもお化けの場所が判ってたみたいだった……人攫いだったけど」
「屋敷と云う空間内に居るからね。アリスを脅かそうなんてする連中の居場所なんて、目を瞑ってても判るらしいよ」
「………本当に最強ですよね」
「ね。だから一緒に行ってくれないだよーそうしたら国木田君以外に愉しそうにしてくれる人、居ないじゃ無いかー」
「絶対に行かん!行かんと言ったら行かんぞ!」
国木田が全力で拒否する。
そんな時だった。
「その人形の館なンですけど………」
谷崎が険しい顔をして話に混ざる。
「「?」」
云いながら見せるのは携帯電話の画面。
出ているのは所謂、クチコミサイトだ。
『マジで怖い!リアルすぎっ!』
『久しぶりに本当に怖かった!』
敦達と同じ感想を述べる者。
そしてその中に混ざるのは――
「「「!」」」
『本当に人形?生きてる子供にしか見えない』
『1週間前に行方不明になった近所の○○君にそっくりな人形があった』
『動けないよ……って泣いてたけど人間じゃね?』
人形とは思えないと云う感想だった。
「このコメントのお陰で客足が途絶えずに大盛況らしいので、運営側が意図的に書き込んでいるという噂もあるンですけど………」
谷崎が苦笑しながら話す。
「……でも若し本当に人形じゃなかったら?」
「「………。」」
太宰の言葉に全員押し黙る。
「どう思う?敦君」
「……確かに本当に人間じゃないのかってくらいの出来だったんですよね……」
敦に振って、視線を国木田に移す太宰。
「そう。どうする?国木田君」
「…………。」
こんな根も葉もない噂……と云いたいところだが実際に観た敦たちの意見からすれば調べる必要はあるだろう。
そうなると……だ。